研究課題/領域番号 |
18H02752
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
上野 修一 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80232768)
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研究分担者 |
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00268749)
三宅 吉博 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50330246)
伊賀 淳一 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (70363140)
大澤 春彦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90294800)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 集団ベース研究 / 一酸化窒素 / AGXT2 / 認知症 |
研究実績の概要 |
AGXT2(アラニン:グリオキシル酸アミノ基転移酵素2型)は、チミンの中間代謝産物D-3-aminoisobutyrateを分解し尿中排泄量を決定する生体内で唯一のアミノ基転移酵素である。また、AGXT2は、一酸化窒素(NO)合成酵素を競合阻害するジメチルアルギニン(ADMA)を分解する酵素でもあるため、結果としてNO合成に関わり、NOに関係する生体活動の重要な酵素でもある。Agxt2を欠損したモデル動物を用いた解析から、Agxt2は血圧を変化させることが報告され、ヒトでは血中脂質代謝にも関わることが報告されている。ヒトのAGXT2遺伝子には機能性多型があり、日本人の3割はAGXT2活性を欠損しているため、我々は1,000例を越える日本人健常者を用いて解析したところ、AGXT2酵素活性と頚動脈内膜中膜複合体厚と関係していることを確認した。今回の研究では、AGXT2酵素活性に関係する遺伝的背景が、認知症などの精神神経疾患と関与するかどうかを調べるため、愛媛県の集団ベースを用い解析を行うこととした。本年は東温市住民を中心とした1900名を越える健常群、八幡浜市や内子町の住民を対象とした1000名を越える健常群を用い、AGXT2の4つのSNPsを用いた機能性多型解析を進めている。まだ、解析途中であるため結果は出ていないが、ジェノタイピングは一部すでに終了している。また、中山町の65歳以上の全住民を対象とした解析では、ジェノタイピングはまだ進んでいないが、認知症との関連の解析を進める予定である。一方、Agxt2を欠損したモデルマウスは、現在は、週齢ごとに試料を集めているところで、今後、免疫組織学的解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
愛媛県内の2つの集団ベースを用いて遺伝子多型の解析がそれぞれ1000例以上を対象に進められつつある。まだ、解析が進んでいない対象症例もあるため、今後例数は増加する予定である。総合的な指標との解析はできていないため、結果は出ていないが、2年目には、一部の結果を示すことができると考える。Agxt2欠損モデルの解析では、マウスAgxt2に対する抗体を作成し、組織学的解析をスタートした。以上から概ね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2つの集団ベースでは、現在解析を進めている途中であるため、更に症例数を増やす予定である。また、これまで機能性多型を解析した集団ベースでは、日常生活習慣などのフェイスシート、血液検査など臨床検査指標、認知機能検査などと組み合わせた解析を行う。Agxt2欠損モデルマウスについては、野生型マウスと比較した組織学的解析を行う予定である。
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