本計画では、脳神経系のゲノムDNAの高深度ゲノム配列解析データからの体細胞変異同定技術の確立を行っている。最終年度である本年度は、これまでに追加で取得を行った、高深度エクソーム解析データ(統合失調症前頭葉神経細胞および非神経細胞について各N=10、健常者と合わせて合計20検体)について、確立したパイプラインの適用と解析を終了した。死後脳試料は米国スタンレー財団より提供を受けた試料を使用した。また、昨年度、先進ゲノム解析研究推進プラットフォームの支援を受け、統合失調症マウスモデル(母体免疫活性化モデルおよび対照群)の前頭葉試料および尻尾においても、高深度エクソーム解析データの取得を行い、マウス用に確立したパイプラインを適用し、解析を終了した。統合失調症患者死後脳試料における解析からは、統合失調症特異的、また、細胞種特異的なSNVを同定し、新規転移因子のゲノム挿入を検出した。統合失調症動物モデルにおいても、母体免疫活性化処理群における新規転移数の上昇と処理群特異的SNVの検出に成功した。これら一連の解析から、本計画で確立したバイオインフォマティクスパイプラインの有用性が認められた。今後、患者死後脳および動物モデル共に、多検体での解析を実施すると共に、特に細胞種ごとの詳細な解析が有用であると考えられた。本計画は、熊本大学において必要と定められたヒトゲノム解析および倫理承認を受けて遂行した。
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