研究課題/領域番号 |
18H02761
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 賢治 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (00295578)
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研究分担者 |
粟井 和夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30294573)
小尾 高史 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40280995)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 深層学習 / CT / 被曝低減 / 機械学習 / 雑音除去 |
研究実績の概要 |
昨年度は、精巧な胸部ファントムのCT画像を、最低線量から最高線量まで変化させて撮像し、学習後のモデルの出力画像(仮想高線量CT画像)と本物の高線量CT画像の画質を定量的に比較し、開発した手法で低減できる被曝線量を定量的に明らかにした。 本年度は、前年度の胸部ファントムでの研究結果と知見を踏まえ、肺がん検診で得られた臨床CT画像を用いて3次元深層学習モデルを学習し、機能・性能の評価を行った。共同研究先の広島大学医学部付属病院では、臨床CTによる肺がん検診が実施されている。本検診において被曝低減手法評価のための臨床データの収集を行った。本研究では、これらの症例群から、肺腫瘍有りの患者を後ろ向きに選択した。選択した症例には、肺腫瘍として最も一般的に検出される「充実性結節」と、検出が難しい「すりガラス陰影」を含めた。まず、ファントムで学習した深層学習モデルを臨床画像データに適用した。その結果、本手法が高い被曝線量低減性能を示すものの、病変部である結節のコントラストが一部低下する現象が観察された。ファントムで学習した3次元深層学習モデルが、高い被曝線量低減性能を示したことから、ファントム学習を3次元深層学習モデルの基本学習とした。ファントムから得られた学習用データに加え、臨床画像から得られたデータを用いることにより、高い被曝線量性能を保ちつつ、臨床データに含まれる結節などの病変部位の劣化を防ぐことができると考え、そのようにモデルを学習した。その結果、臨床データを加えた深層学習モデルは、高い被爆低減性能を保ったまま、結節のコントラスト低下を防ぐことが可能となった。以上のように、本年度は、臨床データを用いて、3次元深層学習モデルを学習し、臨床データによる評価を行い、臨床データでも高い被曝線量低減ができることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言による移動の制限などが影響して、一部の研究の進捗が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一部の研究が遅延したが、その遅延をできるだけ早く取り戻すように研究開発を進める。遅延を取り戻した後には、当初の研究計画の通り、開発した手法を未学習の臨床例に適用し、放射線科医による病変の評価を行う。
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