研究課題/領域番号 |
18H02762
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
五十嵐 博中 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20231128)
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研究分担者 |
大久保 真樹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10203738)
鈴木 清隆 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40303169)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | MRI / CEST / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
本年度も研究は順調に進み、アルツハイマーモデル動物を用いたPOC研究を完了した。アルツハイマー病では、中枢病理学的変化の一つであるシナプスの喪失は、脳の障害領域に対応する局所的な神経学的症状を引き起こす。グルタミン酸化学交換飽和移動(gluCEST)MRIは、シナプスの機能障害や喪失を評価するための候補の一つである。本年度は、5xFADアルツハイマー病モデルマウスを用いてgluCESTの経時的変化を評価し、gluCEST効果と局所脳血流(CBF)を比較した。5xFADマウスと対照群のGluCEST効果とCBFを生後1ヶ月から15ヶ月までの期間で測定した。また、7ヶ月齢のマウスを対象に、樹状細胞/軸索密度を反映したNODDI MRIを測定し、神経密度を反映していると考えられているFicvfを計算し、gluCESTとの比較を行った。その結果、局所CBF は7ヶ月目から減少し始めたが、側頭葉と海馬ではgluCESTの減少がCBFの低下に先行した。5xFADマウス縦断測定では、局所的なgluCEST効果はCBFと相関していたが、一般化線形混合モデルでは大脳皮質では基底部とは統計的に異なる相関を示した。また、頭頂皮質ではNODDI由来のFicvfはgluCEST効果と相関していたが、海馬では相関しておらず、病態生理学的なメカニズムの地域差が明らかになった。これらの結果から、gluCESTは微妙な病態変化を評価することが可能であり、アルツハイマー病の診断やバイオマーカーの候補となるイメージング手法の一つとなり得ると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定されていた動物での基礎検討を終え、ヒトへの技術応用を目指した実証研究への移行は当初の予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はアルツハイマーモデル動物での実験での検討を終え、次年度は他のモデル動物でのPOC実験を続行するとともに、ヒトへの応用を目指し、ヒト用7T MRIシステム上でのプログラム開発および基礎検討を開始する。
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