| 研究課題/領域番号 |
18H02766
|
|---|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
中村 光宏 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30584255)
|
|---|
| 研究分担者 |
中尾 恵 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (10362526)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 医学物理学 / 統計呼吸動体モデル / 時空間画像データ / 適応放射線治療 / 非侵襲呼吸性移動対策 |
|---|
| 研究実績の概要 |
統計呼吸動体モデルの前段階として，統計形状モデルを創出した．対象は局所前立腺癌に対して強度変調放射線治療を施行した220症例とした．DICOM-RT structureファイルに記述されている前立腺，精嚢，直腸，膀胱の三次元輪郭情報をPLY形式で出力し，各臓器の統計形状モデルを創出した．その際，以下の異なる2パターンの位置合わせアルゴリズムを適用した．(A)一様アフィン変換+区分線形アフィン変換による概形の位置合わせに加え，離散ラプラシアン形状修正による局所形状のマッチング，(B)一様アフィン変換+区分線形アフィン変換による概形の位置合わせ．
まず，アルゴリズム(A)について，異なる症例数から創出した統計形状モデルの位置合わせ精度を検討した．220例に症例番号を割り振り，前半10, 20, 50症例から統計形状モデルを創出し，後半100症例に対して位置合わせを実行した．その結果，いずれの症例数から創出された統計形状モデルを用いても位置合わせ精度に有意差は見られなかった．
次に，アルゴリズム(A)及び(B)を用いて前半20症例から各臓器の統計形状モデルを創出し，残りの200症例の各臓器とのハウスドルフ距離を算出した．その結果，前立腺，精嚢，直腸，膀胱におけるハウスドルフ距離の中央値は，アルゴリズム(A)では0.2 mm，0.4 mm，0.5 mm，0.4 mmであり，アルゴリズム(B)では2.9 mm，5.9 mm，10.9 mm，8.6 mmであった．位置合わせが完了するまでの時間の中央値は，アルゴリズム(A)では53.8 s，100.9 s，44.1 s，70.6 sであり，アルゴリズム(B)では3.8 s，15.4 s，3.8 s，5.2 sであった．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の柱である統計モデルの創出に成功したため．現在，統計モデルの自動生成が可能なソフトウェアの開発に着手している．
|
| 今後の研究の推進方策 |
臓器の輪郭データセットに対して局所変位を含めた臓器の自動位置合わせを行い，統計モデルを創出するソフトウェアを完成させる．この時，位置合わせアルゴリズムは一様アフィン変換+区分線形アフィン変換による概形位置合わせに加え，離散ラプラシアン形状修正による局所形状位置合わせを採用する．開発したソフトウェアを用いて，統計モデルに基づくマージンサイズの最適化，標的体積の位置・形状予測に着手する．更に，臓器の輪郭が入力されたCT画像に対して異なるパラメータを有する統計モデルを適用し，臓器形状の変動を考慮した変形CT画像を生成できるソフトウェアを開発する．ソフトウェア完成後に変形CT画像を複数生成し，臓器形状の変動による線量分布の変化を評価する．
|
