研究課題
反応性アストログリオーシスを生体画像化する新規PETプローブ[18F]SMBT-1を開発し、アルツハイマー病患者を対象とした臨床研究を実施した。アルツハイマー病患者およびアミロイドPET陽性の軽度認知障害の患者では、アミロイド沈着部位に一致した[18F]SMBT-1の集積が大脳皮質において観察された。反応性アストロサイトとアミロイド・タウ病理との関連性について検討するため、アルツハイマー病患者の剖検脳でSMBT-1、Florbetaben、MK6240を用いたオートラジオグラフィーを実施した。その結果、アミロイドβ蛋白やタウ蛋白の沈着部位の近傍に存在する反応性アストロサイトにSMBT-1の結合が認められた。これらの結果から、反応性アストロサイトの増生がアミロイドβ蛋白やタウ蛋白の蓄積プロセスと密接に関連し、アルツハイマー病の病態形成に神経炎症が強く関与していることが示唆された。[18F]SMBT-1の臨床研究と並行して、新規タウPETプローブ[18F]SNFT-1の臨床研究への準備を進めた。[18F]SMBT-1の標識合成法の最適化を行い、FASTlab Developer systemを用いた安定的な標識合成法を確立した。またラットを用いた急性毒性試験を実施し、その安全性を確認した。SNFT-1の結合特性を既存の他のタウPETプローブと比較した結果、アルツハイマー病患者脳のタウ凝集体への優れた結合親和性と選択性が確認されたことから、高性能のタウPETプローブとしての期待が高まった。2023年度中に東北大学病院内での標識合成のセットアップを完了し、First-in-man研究を始める計画である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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