研究課題
モデル動物によるIL-26を標的とした抗線維化療法の開発を行った。ア)IL-26単クローン抗体による抗線維化効果の証明:応募者が樹立した中和抗体IL-26mAbにより多臓器の線維化の制御が可能であることをモデル動物で実証すために、線維化モデル動物(hIL26Tg→B10.BR及びhIL26Tg→B6D2F1同種BMT慢性GVHDモデル、ヒト免疫化慢性GVHDモデル)に対してIL-26mAbを投与した。その結果、処置前に投与して線維化を予防できることを、また、線維症発症後に投与し線維化を可逆的に制御できることを実証し、IL-26mAb創薬シーズの薬効データを獲得した。イ)IL-26mAbによる免疫系への副作用の検討:一方、IL-26は炎症性サイトカインであるため、IL-26mAbが免疫学的副作用を誘発すると臨床応用が難しくなる。そこで、IL-26mAb投与による免疫系への影響を検討するため、上記ア)の投与マウスにおいて、皮膚、肺、肝、腎に浸潤した免疫細胞及び脾臓リンパ球のサブセットをフローサイトメトリで解析し、また、血清サイトカイン・ケモカインをBio-Plexマルチ解析システムで測定し、コントロール群との差異を評価した。さらに、抗腫瘍免疫能への影響を調べるため、マウス腫瘍細胞株(肺癌や大腸癌にルシフェラーゼ発現遺伝子を安定的に導入した細胞)を上記ア)のIL-26mAb投与モデルマウスに移入して、IL-26mAb投与による抗腫瘍免疫能への影響を評価した(In Vivo Imaging法にて)。これにより、免疫学的副作用の面から創薬コンセプトを検証し、IL-26mAb療法の非臨床POCデータを獲得した。
2: おおむね順調に進展している
当初の実験計画を順調に進めており、成果を得ている。
上記皮膚慢性GVHDモデルマウス及び慢性GVHD患者は皮膚線維化の悪化に伴って血清IL-26が増加しているという知見を得ている。一方、肝硬変、COPD、腎不全(糖尿病性腎症、腎硬化症)、SScの臨床検体のデータ解析は皆無である。そこで、これら疾患患者の検体(生検組織や血清)を用いてIL-26の発現レベルを解析し、これにより、臓器線維症の病因や新たな疾患活動性の臨床指標となるバイオマーカーを同定し、IL-26創薬シーズの詳細をヒト疾患において明らかにしたい。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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