研究課題/領域番号 |
18H02784
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
吉川 哲史 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80288472)
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研究分担者 |
井平 勝 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (10290165)
三浦 浩樹 藤田医科大学, 医学部, 助教 (10751761)
東本 祐紀 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (20569701)
谷口 孝喜 藤田医科大学, 医学部, 名誉教授 (40094213)
河本 聡志 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (60367711)
菅田 健 藤田医科大学, 医学部, 講師 (60454401)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロタウイルス / 性器ヘルペス / ワクチン / リバースジェネティックス / HSV-2 |
研究実績の概要 |
【具体的内容】昨年度の研究で、ロタウイルスリバースジェネティクスシステムによりHSV-2 gD組み込みSA11(rSA11-gD2)を作製し、組み換えロタウイルス感染細胞の培養上清を用いてWestern blottingにてHSV-2 gD蛋白の発現を確認した。次に、In vivoでの免疫原性を確認するため、雌BALB/cマウスに5日齢、19日齢の計2回rSA11-gD2を経口接種した。1回目接種後の下痢スコアは野生株SA11感染マウスと同一で、Mock感染より有意に高値だった。2回目接種後4週間の47日齢に血清を採取し中和抗体法を行ったが、4倍希釈血清中の中和抗体は陰性だった。さらに、より感度の良いELISAによるHSV-2 gD IgG抗体も検出できなかったため、次に接種雌マウスを7週齢に変更し、2週間および4週間隔で計3回投与を行い、免疫原性の確認を行った。乳飲みマウス同様中和抗体の産生は確認できなかったが、4週間隔投与群でHSV-2 gDに対するIgGの産生を確認した。 【意義と重要性】ロタウイルスリバースジェネティックス系を用いて、HSV gD2タンパクを発現するサルロタウイルスの構築に成功した。これまでの研究成果と同様、NSP1領域にHSV由来外来遺伝子を挿入してもウイルスの増殖能に影響はなく、今後の組み換えワクチン作成のための重要な知見と考える。また、中和抗体の産生はされなかったが、IgGは検出でき、HSV-2タンパク遺伝子組み込みロタウイルスにより抗体産生が行われることは確認できた。 【今後の研究の展開】gD2のみならずgC、gE、gIなど他のタンパク遺伝子を組み込んだロタウイルスによる免疫原性も確認していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロタウイルスに組み込むHSV-2遺伝子としてgDを選択した。約900bpのgD塩基配列をベクターへ組み込むために制限酵素サイトで挟んだgD2発現用塩基配列を人工合成した。この制限酵素サイトを用いてSA11のNSP-1プラスミドにサブクローニングした。gD組み込みNSP-1プラスミドを含んだ全11種類のSA11遺伝子分節を組み込んだプラスミドを用い、ロタウイルスリバースジェネティクスシステムによりHSV-2 gD組み込みSA11(rSA11-gD2)を作製した。rSA11-gD2のHSV-2 gD蛋白発現をin vitroで確認するため、CV1細胞(アフリカミドリザル、腎臓細胞)にrSA11-gD2を感染させ、感染細胞の培養上清を用いてWestern blottingにてHSV-2 gD蛋白の発現を確認した。 次に、In vivoでの免疫原性を確認するため、5×107pfu/mLのrSA11-gD2を雌BALB/cマウスに5日齢(100µL)及び19日齢(200µL)の計2回rSA11-gD2を経口接種した。1回目接種後の下痢症スコアは野生株SA11感染マウス群と有意差なくrSA11-gD2投与群で感染が成立していることが示唆された。しかしながら、2回目接種後4週間の47日齢に血清を採取し中和抗体法を行ったが、4倍希釈血清において中和抗体は陰性であった。さらに、ELISAによるHSV-2 gD IgG抗体も検出できなかった。 既報において、7週齢の雌マウスがロタウイルスに対して免疫反応が高い事を確認し(Ward, et al. J Virol, 1990)、7週齢の雌マウスに対して2および4週間隔で計3回投与(400µL)を行い、免疫原性の確認を行った。乳飲みマウス同様、中和抗体の産生は確認できなかったが、4週間隔投与群でIgGの産生を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
1.引き続き、HSV-gDのみならず、補体の不活化やIgG結合能を有し宿主免疫制御にかかわるHSV-2 gC、gE、gIなどHSV-2の他のタンパク候補遺伝子をSA11に組み込み、免疫原性を確認していく。。 2.血清だけでなく、感染門戸となる膣粘液における抗体産生やIgGのみならずIgAも中和法およびELISA法によって確認していく。
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