研究課題/領域番号 |
18H02785
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
近藤 洋一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40284062)
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研究分担者 |
濱岡 仁美 (黒瀬仁美) 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80545608)
井上 順治 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20814859)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アレキサンダー病 / アストロサイト / 疾患特異的iPS細胞 / グリア前駆細胞 / ヒトグリア細胞キメラマウス |
研究実績の概要 |
アストロサイトの骨格蛋白GFAPの遺伝子変異によって起こる神経難病、アレキサンダー病の動物モデルを確立することが初年度のゴールであった。先行研究では遺伝子改変によるアレキサンダー病モデルマウス作製はその病態再現に失敗している。ヒトアストロサイトの複雑性を考慮すると、これはマウスなど他の動物種ではなく、ヒトのアストロサイトを用いなけば疾患モデルはできないとの仮説を立て、本研究を遂行した。まず、アレキサンダー病患者由来のiPS細胞を入手し、神経外胚葉系への誘導を経て、アストロサイトを誘導した。細胞は熊本大学から提供いただいたA195とA266、および正常対照iPS細胞株N1を用いた。 in vivoの実験では、免疫不全・髄鞘形成不全マウスの脳へアレキサンダー病患者由来のグリア前駆細胞を移植することでヒトグリア細胞のキメラマウスを作製し、これをアレキサンダー病のモデルマウスとする。その予備実験として研究室所有のヒト胎児由来グリア前駆細胞を移植して髄鞘形成能を評価した。免疫不全マウスとしてはこれまで経験のあるRag2ノックアウトマウスから、より完全な免疫不全状態をもつNSGマウスへと変えて実験を行ったが、移植片の生着が十分とは言えなかった。NSGマウスはIL-2受容体のγ鎖を欠き、種々の免疫分子を発現しないが、これら分子は脳内で髄鞘再生のシグナルとして働いている可能性もある。髄鞘形成不全shivererマウスの免疫不全バックグラウンドにはRag2ノックアウトマウスのほうが好ましいであろうと判断し、shivererマウスとRag2ノックアウトマウスの交配をやり直した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アレキサンダー病モデルマウスとしてのヒトグリア細胞キメラマウスを作成するに当たって選んだ免疫不全のバックグラウンドがおそらく不適切であったことを受けて、髄鞘形成不全shivererマウスの免疫不全マウスへの交配をやり直したため、研究の進展に遅れが生じた。 また、A266細胞株のGFAP遺伝子の配列を調べたところ、正常のものと一致していた。これは培養中に取り違えが起きたのか、原因は不明であったが、熊本大学より他のロットを再度いただき、配列を読んでGFAP遺伝子の変異が入っていることを確認した上で、グリア細胞への分化誘導を再開した。このことも研究進展に影響した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトのグリア細胞は分化・成熟するのに、げっ歯類のグリア細胞よりも時間がかかる。これは胎児期の長さを考えると当然のことであるが、本研究においても、iPS細胞から神経幹細胞を経てグリア細胞へと分化させる際に、実感された。この培養時間の長さが研究の時間的制約とならないよう、同時に複数の細胞株を培養して効率的に結果を出していかなければならない。 細胞移植実験のホストマウスである髄鞘形成不全・免疫不全マウスの作製が遅れたことでin vivoの実験が滞っている。マウスコロニーのサイズを予定よりも大きくして、細胞移植の件数を増やして対応していきたい。 in vitroおよびin vivo両方で、ヒトグリア細胞ならではの長い時間の要求がある。これは予想されたことで、次年度も本年度と同じ計画としているものの、予定外のことが起こるとリカバリーしがたくなってしまう。計画以上に進展するくらいのペースをもって研究を進めたい。
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