研究課題/領域番号 |
18H02792
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山下 太郎 金沢大学, 附属病院, 准教授 (90377432)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝細胞がん |
研究実績の概要 |
本研究では肝癌間質細胞社会の成り立ちを明らかにするため、ヒト新鮮外科切除標本から単一浮遊細胞液を作成し、血管内皮細胞、線維芽細胞、免疫担当細胞における遺伝子発現プロフィールを解析、その多様性について検討する。2019年度には肝がんおよび末梢血単核球を用いて1細胞トランスクリプトーム解析を行う組織処理法の調整を継続した。特に末梢血単核球の中でも白血球以外の分画と考えられるCD45陰性細胞集団のMACSを用いた細胞の精製法の確立し、2例において肝がん患者で特異的に出現する細胞集団の1細胞トランスクリプトーム解析サンプルの調整に成功した。一方、肝細胞がん組織については1細胞トランスクリプトームを行うに十分なクオリティのサンプルを調整する方法が確立できた。 また、2018年度には肝がん患者および健常人における末梢血単核球の細胞分画の比較を行い、特定のケモカイン受容体陽性細胞分画に違いがあることを見出したが、2019年にはこの所見をマウス肝がんモデルで再現した。またこのマウスモデルでは抗PD1抗体による腫瘍抑制が得られないことも見出した。特にこのケモカイン受容体のリガンドは肝細胞がんの中でも極めて予後が不良な上皮幹細胞型肝細胞がんで発現が亢進していることを同定し、AFP陽性肝がんで高く発現していることを見出した。ケモカインリガンドの血清レベルは肝細胞がん外科切除症例の予後に関わる事、ケモカイン受容体陽性細胞は腫瘍内のマクロファージで発現が認められることから、肝がんの間質細胞集団におけるマクロファージの予後不良肝がんにおける役割が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝がん患者で特異的に出現する末梢血単核球分画にはCD45陰性で一部VEGFR2陽性の細胞集団を見出し、同細胞集団の生存を落とすことなく1細胞トランスクリプト―ム解析が行える細胞調整方法を確立しているため、進捗はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
外科切除標本のサンプルのクオリティが今年度は不十分であったことから、次年度にペアサンプルでの解析を行う予定としている。また、免疫反応を評価するためのマウス肝がん細胞株の確立および皮下移植モデルでの解析方法の確立に成功していることから、次年度以降にはマウスを用いた検討も進める予定である。
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