研究課題/領域番号 |
18H02793
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本多 政夫 金沢大学, 保健学系, 教授 (00272980)
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研究分担者 |
堀本 勝久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副研究センター長 (40238803)
鍵和田 晴美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40443204)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / リン酸化 / プロテインアレイ |
研究実績の概要 |
申請者らは世界最大のヒトタンパク質発現リソースHuPEX (Human Proteome Expression Resource)(約2万種)を基に高操作性・ハイスループットなプロテインアレイを作製し、正味のチロシンキナーゼ活性を高感度に測定する系を初めて確立した。本研究目的は新技術プロテインアレイを用いて、NAFLD/NASH肝組織のリン酸化プロファイルを明らかにして新規治療標的を同定する。 本年度はphosphoproteome(Dev Cell. 2018 Oct 22;47(2):205-221)のデータベースを基にマウス肝組織における標的リン酸化蛋白の発現解析を行った。マウスのphosphoproteomeデータベースから、Ath+HFD(動脈硬化高脂肪食)マウスで遺伝子発現を認めた32974遺伝子中、3627遺伝子がリン酸化蛋白であることが解った。そのうち、病態の進行と共に発現変動を示す遺伝子は2054個認められた(p<0.001)。30週から60週齢(肝発癌)にかけ、有意に発現上昇するリン酸化蛋白(884個)は線維化・炎症と関連し、発現低下するリン酸化蛋白(1170個)はユビキチンプロテアソーム・HSPなど異常蛋白分解に関わる遺伝子であった。非環式レチノイドの投与により線維化・炎症に関連する約65%の遺伝子で発現の改善が見られた。しかし、MEK1/2、SREBP1、p38MAPK、IRS-1、S100A8など含む約35%の遺伝子では発現の改善が見られなかった。これらの遺伝子のリン酸化の変動を解析中である。Ath+HFDマウス肝組織では12週(脂肪肝10サンプル)、30週(肝線維化10サンプル)、60週(肝発癌10サンプル)のリン酸化アレイを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ath+HFD(動脈硬化高脂肪食) マウス肝組織における標的リン酸化蛋白の候補を同定した。同肝組織におけるリン酸化プロファイルを施行中である。
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今後の研究の推進方策 |
Ath+HFDマウス肝組織の遺伝子発現データとリン酸化アレイのデータを統合し、新規治療標的遺伝子を同定する。 ヒトゲノム倫理委員会の承認が金沢大学及び産総研双方で承認されたため、2019年度からヒトNAFLD/NASH肝組織を用いたリン酸化活性プロファイリングの同定を行う。研究代表者の本多はこれまでに100症例のNAFLD/NASH肝組織のmRNA遺伝子発現プロファイルを明らかにした(Cell Metab 2010, Diabetologia 2014, Liver Int 2015)。得られたデータを基にmRNA遺伝子発現プロファイルとリン酸化活性プロファイリングの数理解析を行う(堀本)。NAS(NAFLD Activity Score)、(Steatosis: 0~3,Lobular inflammation: 0~3,Hepatocyte ballooning: 0~2)及びFibrosis (Stage:0~4)を層別化し、脂肪化・炎症・肝細胞風船様変化及び線維化の進行に伴う遺伝子発現変化及びリン酸化シグナル変化をそれぞれ同定する。また、Matteoni分類やBrunt分類に即した層別化を行い、脂肪化・炎症・線維化進行に関わるシグナルパスウェイを同定する。
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