研究課題
糖尿病に合併する心血管病の病態は血管障害であり、それらは大血管障害と毛細血管障害に分けられる。毛細血管障害については患者のQOLに悪影響をもた らすものの、未だに明確な病態や機序が明らかにされておらず治療法も確立されていない。本研究では糖尿病性細小血管傷害による心機能の低下に対して、特にインクレチンやグルカゴンなどのホルモンと、毛細血管機能、血管新生機能に着目してその病態解明と新しい治療法の開発を目指している。血管新生因子、アディポカイン・マイオカインとの 関連性についても検討する。(1)グルカゴン、GLP-1 関連研究グルカゴン関連ペプチド (glucagon, GLP-1, GIPなど) は、心筋細胞や血管内皮細胞にも受容体が存在し直接的効果がある。近年グルカゴン関連ペプチドによ り、血管新生を惹起できることが報告されており、グルカゴン関連ペプチドと糖尿病性毛細血管障害の関連性が注目されている。大規模臨床試験でもGLP-1受容体作動薬が心血管イベントを有意に低下させることが示され、その機序について大変注目が集まっている。我々はグルカゴン・GLP-1欠損マウスを入手し研究を継続している。生理的な体内濃度のグルカゴンは、心不全に対し保護的に働くものの、高用量のグルカゴンは、むしろ心臓に対し障害的に働くことを突き止め、発表した(Nishimura et al. 論文投稿中)。(2)アディポカイン・マイオカイン研究我々のグループはこれまでに新規アディポカイン・マイオカインを複数同定しており、これらが虚血部血管新生作用を有していることもまた報告した。2018年度 にはマイオカインの1つであるマイオネクチンを同定し論文発表を行った。心筋虚血再灌流モデルにおいて、マイオネクチンは心筋保護効果を示した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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