研究課題/領域番号 |
18H02807
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授 (20294051)
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研究分担者 |
種池 学 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 助教 (30609756)
山口 修 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (90467580)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心不全 / ミトコンドリア / 心筋炎症 |
研究実績の概要 |
心不全の病態形成過程において慢性炎症が重要な役割を果たしていることが知られてきた。われわれは圧負荷後心不全モデルにおいて、ミトコンドリアDNAの分解不全とToll様受容体9を解する自然免疫経路が不全心炎症を惹起していることを報告した。本研究課題では、先行研究で試みられた個々の下流サイトカインへの介入ではなく、無菌的炎症反応の上流に介入する全く新たな心不全治療戦略を開発することを目的とする。 これまでに同定していた、心不全においてDNaseII発現制御に関わるmiRおよびそのanti-miRの機能について、病態モデルマウスを用いたin vivo実験にて評価を行い、in vitroの実験結果から予想された内容と同様の実験結果、つまりDNaseIIの発現と心不全への明らかな影響が見られた。当初予定していたanti-miR発現AAVによる心不全病態モデル動物に対する治療効果の評価実験については、AAVの作製を何度も試みているものの、不成功に終わっており、原因の究明および再作製を続けているところである。 iPLA2beta心筋細胞特異的欠損マウスについては、圧負荷心不全モデルを用いて病態を評価したところ、野生型と大きく異なる表現型が得られた。その病態評価を行ったところ、炎症の直接的関与が小さい可能性が示唆された。 HMGB1心筋細胞特異的欠損マウスについては、圧負荷心不全モデルを用いて表現型の解析を行っている。野生型に比べてノックアウトマウスにおいて明らかな表現型が得られ、表現型と炎症の関連性が示唆される結果を得ている。引き続き、詳細な解析を続けている。 また、本研究に関連して、心不全における炎症に炎症性サイトカインmRNAの分解が重要な役割を果たしていることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同定したDNaseII発現制御に関わるmiRおよびそのanti-miRの機能についてin vivo実験を行い、表現型およびメカニズムの解析を行った。anti-miR発現AAVの作製に難渋しているが、継続して試みている状況である。HMGB1心筋細胞特異的欠損マウスおよびiPLA2beta心筋細胞特異的欠損マウスについては病態モデルを用いて表現型の確認が終了している。以上より、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
Anti-miR発現AAVの作製実現にむけて、あらゆる手段を検討し、実行する。得られたAAVを用いて心不全病態モデル動物に対する治療効果の評価を行う。DNaseIIの発現調節を行う分子機構を解析する目的で、CHIP-seqによりDNase発現調節領域結合タンパク質の同定を試みる。 また、引き続き、HMGB1心筋細胞特異的欠損マウスの病態モデルについての評価を行い、得られたデータを元に詳細な解析を進める。
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