研究課題
本研究は、これまで主として心筋イオンチャネルを中心とした研究が進んでいた致死性不整脈の新たな病因として、心筋イオン輸送体に焦点を当てる。申請者はフランスとの共同研究で、致死性不整脈から蘇生された183例に網羅的遺伝子解析をおこなったところ、心電図J波とQT時間短縮を特徴とする20家系に心筋Na-Ca交換体(NCX1)の遺伝子変 異を14個(ミスセンス11種、1塩基欠損による蛋白欠失変異1種、スプライシング部位の変異2種)同定した。パッチクランプで解析した変異NCX1の多くはNa -Ca交換特性が低下し、45Ca取り込み能の低下と細胞膜へのトラフィッキング異常が確認された。ヒト心室筋細胞のコンピュータシミュレーションモデルではNCX1電流の低下によって活動電位の短縮が確認された。Crispr/Cas9法によるゲ ノム編集でNCX1変異L218HのノックインマウスのF1を2系統作成した。繁殖後心電図記録、単離心筋細胞の活動電位記録、薬物負荷試験などを計画していたが、研究代表者が2019年4月から異動すること、移動先が全館移転のため8月まで動物実験ができないことなどから、マウスは2019年夏まで凍結胚として保存することにした。
3: やや遅れている
研究代表者が2019年4月に異動することになった。移動先の国立循環器病研究センターは5月に全館移転し8月まで動物実験ができない。したがってノックインマウスは2019年夏まで凍結胚として保存することにしたため、動物実験の研究が遅れた。その他の研究はおおむね順調に進行している。
2019年4月に異動後、可及的早期に実験を再開する。凍結胚は2019年夏に個体復元し、繁殖後予定していた実験に用いる。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 3件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (49件) (うち国際学会 23件、 招待講演 10件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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