研究課題
本研究は、心筋イオン輸送体に焦点を当てて致死性不整脈の新たな病因を探求することである。致死性不整脈の原因究明はQT延長症候群以外では十分に進んでおらず、イオンチャネルを候補遺伝子とする従来の手法で新たな病因を見出すのは困難である。申請者は最近、心電図QT時間の短縮と早期再分極(J波)を特徴とする致死性不整脈の蘇生症例において網羅的遺伝子解析を行い、心筋Na-Ca交換体(NCX)遺伝子の変異を同定した。フランスとの共同研究で、同様の臨床像を有し同一遺伝子上の変異を有する家系をさらに4家系同定した。最大の家系において全ゲノムシークエンスを行い、他の疾患遺伝子の関与が除外された。in vitro機能解析手法でNCXの機能低下を認め、活動電位のコンピュータシミュレーションではQT短縮が再現された。さらに、in vivoで機能異常を解明するために、ゲノム編集で変異導入マウスモデルを作成し、胚を前任地の長崎から国立循環器病研究センター(国循)に移転した。しかし国循の全施設移転に伴い、動物実験は7か月間研究が中断され、R2年2月から個体復元を再開した。これまで得られた研究成果をもとに、NCX変異による細胞内Ca制御異常という新たな疾患概念を確立し、心臓突然死の予知予防に応用する。
3: やや遅れている
国循の全館移転に伴う7カ月の動物実験中断によって、動物実験が予定よりも遅れている。その他のin vitor実験や遺伝学的研究は順調である。
ノックインマウスの繁殖がR2年2月から可能となったので、頭数を増やしてin vivoの電気生理学的解析や心筋細胞の活動電位測定などの解析を集中的に進める。
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