研究課題
本年度は脂肪特異的ERK2欠損マウス(AE2KO)を用いた肥満における異所性脂肪沈着の研究に著明な進展が見られた。ダパグリフロジンが異所性脂肪沈着を著明に軽減し、脂肪肝の改善とインスリン抵抗性の改善に働くことが示された。機序の一つとして骨格筋における脂肪酸酸化が改善して、ミトコンドリア機能が改善することがわかった。ミトコンドリア呼吸鎖の機能測定により、特にコハク酸投与時の酸素消費改善を認め、脂質代謝の改善に大きく寄与している事が判明した。また、脂肪組織のRNA Sequence Analysisにより、ERK2がミトコンドリアの遺伝子発現に大きく影響している可能性が示唆された。これはERK1欠損では認められず、ERK1/ERK2の間に作用点の違いがあることが示唆された。内皮依存性ERK2欠損マウス(EE2KO)では,高脂肪食負荷において内皮依存性血管収縮因子(EDCF)放出が減少して、内皮機能改善を介してインスリン抵抗性と脂肪肝が改善する事が判明して、現在投稿中である。また、EE2KOに低酸素負荷を与えたところEDCFの低下とeNOSのuncouple改善を認め、低酸素性肺高血圧症が改善する事が判明した。これについても現在結果を集積し投稿準備中である。内皮細胞でのERK2 がeNOS Uncouplingを制御する事は、今後種々の心血管病治療につながりうる成果である。SM22CreによるERK2欠損マウスでは血管平滑筋とともに心筋でもERK2の欠損を認めた。このマウスでは血管内皮障害のみならず、冠動脈周囲に炎症が波及して心筋症が自然発症して自然死が認められた。このマウスを用いてERK2の心筋症への関与を検討して、抗がん剤の心毒性に対して考察を加えたい。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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