研究課題/領域番号 |
18H02818
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
須田 隆文 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30291397)
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研究分担者 |
藤澤 朋幸 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20402357)
榎本 紀之 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50436961)
中村 祐太郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60436962)
永田 年 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90275024)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 樹状細胞 / 免疫チェックポイント分子 / ワクチン / PD-1/PD-L / 細胞内寄生菌感染症 |
研究実績の概要 |
本年は、昨年までの基礎的な研究を発展させ,リステリア菌のCTLエピトープであるLLO91-99ペプチドをパルスし,LPSで成熟を誘導した樹状細胞ワクチンを作成し,naive mouseに接種した上で,マウスに誘導されるLLO91-99特異的細胞傷害性T細胞(CTL)をLLO91-99特異的テトラマーを用いて定量的に評価し,また,脾臓を採取してクロム遊離によるLLO91-99特異的なCTL活性並びにIFNγ産生能を検討した.さらに,実際にリステリア菌をチャレンジして,脾臓,肺,肝臓を採取し,臓器内菌量を定量評価し,感染防御能の誘導を評価した.この系の樹状細胞ワクチン接種時に,免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1ならびに抗PD-L1抗体)を投与し,樹状細胞のワクチン効果を高めることが出来るかどうかを評価した.
その結果,LLO91-99ペプチドをパルスした樹状細胞ワクチンを接種することによって,テトラマーによってLLO91-99特異的T細胞が誘導,増加すること,また,脾細胞においてLLO91-99特異的CTL活性が大きく亢進し,同時にLLO91-99特異的IFNγ産生が強く誘導されることを確認した.
しかし,この実験系において,免疫チェックポイント阻害薬を投与した場合,脾細胞のLLO91-99特異的CTL活性とIFN産生は軽度の増強が認められるものの,テトラマーで評価した1LLO91-99特異的CTLの量的な増加は認められず,また,リステリア菌チャレンジ後の各臓器内菌量も減少はしたが,優位な違いではなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroでは,PD-1/PD-L1阻害は,樹状細胞+卵白アルブミン由来ペプチド+OT-1, OT-2トランスジェニックマウスのT細胞の混合培養系において,軽度の増殖促進ならびにサイトカイン産生増強作用しか認めたが,今回のin vivoの実験では,LLO91-99特異的CTLの誘導能,感染防御能のいずれにおいても有意なワクチン増強作用を確認できなかった.したがって,当初の予定より,全体の研究計画はやや遅れている.免疫チェックポイント阻害薬のIn vivo投与での効果には限界がある可能性もあるが,投与のタイミングや投与量を加減して,さらに検討を加える予定である.
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今後の研究の推進方策 |
上記に記述したように,免疫チェックポイント阻害薬のIn vivo投与での効果には限界がある可能性もあるが,投与のタイミングや投与量を加減して,さらに検討を加える予定である.
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