分子生物学的反応系を工夫し,MUC4反復配列を第三世代シークエンサーPacBio Sequel IIにのせるための反応系を確立した.PacBio Sequel IIで144症例のサンプルを泳動した.プログラムを工夫し,PacBioデータからMUC4配列をハプロタイプも含めて完全長で決定することができるようになった.50症例以上で完全長MUC4配列が決定できている.決定した症例はNEJ022A臨床試験症例だが,さらに,MUC4多型の人種差も検討できるように,1.日本人健常人から確立した不死化リンパ球DNA,2.Hapmap CEUサンプル,3.Hapmap CHBサンプルの調製を行い,現在PacBio Sequel IIで塩基配列決定を行っている. なお,NEJ-022A臨床試験は以下のものである. EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者におけるMUC4遺伝子多型とEGFR-TKIによる肺障害発症との相関性を検証するためのコホート内ケースコントロールスタディ - NEJ022A - UMIN ID:UMIN000015612の症例集積を終了した.EGFR遺伝子変異陽性でEGFR阻害薬による治療を計画している症例の末梢血を,薬剤投与前に採取.薬 剤投与後に症例を観察し,肺障害を発症した患者を中央判定,一名の発症者に対し,10名の非発症者をコホートから無作為に選択する.平成30年度までに432例が登録され,11名が肺障害を発症.この時点で登録終了とした.この11名がケースとなる.非発症者から無作為に選択した88名をコントロールとした.
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