分子生物学的反応系を工夫し,MUC4反復配列を第三世代シークエンサーPacBioRSにのせるための反応系を確立した.得られた塩基配列データは高次の反復配列構造を 取っているため,専用のアセンブルプログラムを開発し,アセンブルが可能になった. EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者におけるMUC4遺伝子多型とEGFR-TKIによる肺障害発症との相関性を検証するためのコホート内ケースコントロールスタディ - NEJ022A - UMIN ID:UMIN000015612の症例を解析している.この臨床研究では,EGFR遺伝子変異陽性でEGFR阻害薬による治療を計画している症例の末梢血を,薬剤投与前に採取.薬 剤投与後に症例を観察し,肺障害を発症した患者を中央判定,一名の発症者に対し,10名の非発症者をコホートから無作為に選択する.平成30年度までに432例が 登録され,11名が肺障害を発症.この時点で登録終了とした.この11名がケースとなる.非発症者から無作為に選択した88名をコントロールとした.DNAの品質が良くない症例も含め,現在104例中98例(208アレル中196アレル)のMUC4反復配列の解析が終了し,残り6症例を解析中である.2021年9月を最終解析終了日として設定している.2021年5月末に最終データ収集のための症例検討会を行う.2021年9月に統計解析を行い,結果を報告する予定である.民族差を検索するため,日本人不死化リンパ球100例,HapMapで収集されたコーカシアン,中国人症例96例も並行解析中である.
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