研究課題/領域番号 |
18H02824
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
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研究分担者 |
三村 維真理 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00727084)
平川 陽亮 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10780736)
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (50232509)
田中 哲洋 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90508079)
西 裕志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90784174)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低酸素 / HIF / 慢性腎臓病 / ミトコンドリア / CKD |
研究実績の概要 |
慢性腎臓病 CKD の進行の final common pathway である尿細管間質の低酸素状態では、ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化が障害される。低酸素に対する防御反応は、転写調節因子 hypoxia-inducible factor (HIF)が司っており、HIF は臓器への酸素供給を増加させるとともに細胞のエネルギー代謝を変化させて細胞機能を調節する(代謝リプログラミング)。本研究では、申請者らが世界に先駆けて展開してきた慢性腎臓病低酸素研究を発展・新展開させる。 これまで、培養尿細管細胞に対し低酸素、髙糖濃度、尿毒素などの様々な刺激を行って、代謝リプログラミングを評価してきた。これらの病的刺激における遺伝子発現変動について、エネルギー代謝に関連する分子の発現変動を中心に解析を進め、TCAサイクルを中心としたエネルギー代謝産物の測定を行うとともに、関連する分子の変動が代謝リプログラミングに果たす役割を検証している。更に、これらの病態における代謝リプログラミングにおける HIF の役割を明らかにするため、HIF を薬理学的に活性化することによるエネルギー代謝の変化を検証するとともに、並行してfinal common pathway としての長期的な影響をみるために、epigenomic な変化についても解析を進めた。 また、腎臓病モデル動物を作成し、代謝リプログラミングに関連すると考えられる遺伝子の発現調節および代謝産物の測定を行い、その病態生理学的意義を明らかにしている。更に、腎臓病モデル動物に対してHIF を薬理学的に活性化することにより、腎臓のエネルギー代謝の変化、酸化ストレスおよび低酸素状態への影響、病態の改善を調べ、その病態生理学的意義を解明している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んでおり、複数の論文として成果発表することが出来ている。また、関連する新しい知見についても学会発表しており、現在論文化を急いでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア障害において、代謝リプログラミングに加え、その下流で動く重要なシグナルカスケードについての詳細な検討を進めている。また、特に臓器間連関に注目し、様々な腎臓病モデルにおける代謝リプログラミングとそれに対するPHD阻害薬投与によりHIF の薬理学的活性化の影響の研究を進めている。特に、心腎連関 cardio-renal connection に重点を置いた解析を行っている。 尿細管特異的PHD(PHD-1,2,3)遺伝子改変動物についても研究が進んでおり、これを用いて代謝リプログラミングにおける PHD および HIF の役割を明らかにする実験を更に進める。
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