研究実績の概要 |
腎前駆細胞 (NPC)の培養維持が困難であったために、当初のCDP法ではなく、FACSで単離する方法を種々試みたが改善が得られなかった。種々条件検討の結果、胎児腎臓を採取してから培養の開始までの時間が問題ではないかと考えられ、CDP法に立ち返り、胎児腎臓採取から可及的に速くCDPを行った。その結果、ポドサイトにhCD25を発現するNEP25マウスと、ポドサイトにHA抗原が付加されたリボゾームタンパク質を発現するRibotag マウスからNPCをそれぞれ樹立する事ができた。各NPCを分化させて、オルガノイドを作成し、それぞれポドサイトでhCD25やHAを発現する事を確認した。NEP25 NPCとRibotag NPCを混合させて培養し、キメラオルガノイドを作成した。半数のオルガノイドには、分化後8日目から12日目まで、LMB2 20 nMを添加し、LMB2非添加オルガノイドと比較した。12日めにオルガノイドを回収し、HA抗体による免疫沈降によりポリゾームを単離し、定量RT-PCR法でRNAを解析した。LMB2は、NEP25 NPC由来のポドサイトのみに作用するが、免疫沈降で回収されるRNAは、Ribotag NPC由来のポドサイトである。その結果、LMB2後に、Nephrin, Podocin, Wt1 mRNAが減少し、Gadd45b mRNAの増加が認められた。すなわち、オルガノイドにおいても、生体の腎臓で認められたような間接的ポドサイト傷害が起こった事が示唆された。
|