研究課題/領域番号 |
18H02842
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
指田 吾郎 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別招聘教授 (70349447)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ストレス / 骨髄異形成症候群 / 老化 / エピゲノム / DNAメチル化 / TET2 / クロナール造血 |
研究実績の概要 |
老化とは、感染など様々なストレスによる臓器・個体レべルの生体内ネットワークの恒常性破綻であり、臓器機能低下やがんなどの疾患発症を促進する。ただ し、複雑な生物学的応答のもとで、がん発症に至る分子基盤は明白でない。高齢者に好発する骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞より発生するクローン性造血器腫瘍であり、造血不全を生じる予後不良ながんである。MDSは造血幹細胞より発生するクローン性造血器腫瘍であり、一部が急性骨髄性白血病(AML) に移行する高齢者に好発するがんである。近年、健常高齢者でTET2変異を伴ったクローナル造血が高頻度に存在することが注目されているが、高齢者のクローナル造血がすべて造血器腫瘍発症に結びつかないことから、付加的なゲノムまたはエピゲノム変異が必要と推察される。また、疫学データは老化とがんであるMDS発症との関連を強く支持するが、加齢に伴った環境ストレスによる造血不全とMDS発症との因果関係は不明である。こうした状況のなか、申請者は、老化に伴うがん発症機構を理解するために、MDS発症過程を模して感染ストレスを負荷したDNA脱メチル化酵素・TET2変異マウスモデルを新たに作製した。本研究では、感染ストレスによって惹起されたエピゲノム変化が継承されて、 造血機能障害を来すとともに、クローナル造血からMDS発症に至る分子基盤を解析している。以上、感染記憶による造血幹細胞の機能障害とMDS発症の分子基盤を解明して、さらに、エピゲノム初期化によるMDS発症予防を試みる。本研究は、持続的な慢性炎症ではなく、短期の感染ストレスによるエピゲノム変化がMDS発症を促進するメカニズムの解明が目的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老化に伴うがん発症機構を理解するために、感染ストレスによる造血幹細胞の機能低下とMDS発症の分子メカニズムを、感染ストレスによって惹起されたエピゲノム変化の観点から解析している。現在、幹細胞における感染ストレス後の遺伝子発現・エピゲノム変化の統合的な検証は完了しており、MDS発症に関連する遺伝子と変動するネットワークを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
老化または感染ストレウに伴うMDS発症機構を理解するために、現在までに、造血幹細胞における感染ストレス後の遺伝子発現・エピゲノム変化の統合的な検証は完了しており、MDS発症に関連する遺伝子と変動するネットワークを同定した。今後、個々の因子また生物学的なパスウエイの詳細な機能的解析を培養系または生体モデルにて進める予定である。
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