研究課題
本研究で、血管内皮細胞上に発現して血液凝固を負に制御する膜蛋白、トロンボモジュリン(TM)の内皮保護作用を明らかにしてきた。これまでにTM分子の上皮細胞増殖因子様領域の19アミノ酸からなる構造に血管内皮保護作用があること、そしてそれは内皮細胞膜上のケモカイン受容体GPR15を介して発揮されることを報告した。また、TM分子には血管新生作用があることも明らかにした。臨床面においては、血管内皮細胞障害に起因して発症する移植関連血栓性微小血管症(TA-TMA)をはじめとするさまざまな疾患に遺伝子組換えTM製剤を使用して多くの患者の救命に成功した。本年度はTMが持つ血管新生や血管内皮保護を発揮する機序をさらに詳細にする研究を行った。各種造血細胞が幼弱な造血幹細胞から分化して作られるのと同様に、血管組織も血管内皮幹細胞から分化増殖して作られることが複数の研究グループにより明らかにされた。われわれはTMが血管内皮幹細胞に生存シグナルを伝達して血管新生作用を発揮し、障害された血管組織を修復するのではないかと考えてそれを検証する研究に着手した。既報に従いマウスの肝臓を摘出し、細胞表面マーカーCD31とCD157に対する抗体で細胞染色を行い、フローサイトメトリーを用いて陽性細胞を分取した。血管内皮細胞のうちやく3%の頻度でCD31と157が陽性に染まる、血管内皮幹細胞を含むとされる細胞分画の取得に成功した。これらの幹細胞を、各種サイトカインを分泌するマウス間質細胞OP-9と共培養することで生存維持できることも確認できた。現在、この培養系にTMを添加することで血管内皮幹細胞の増殖、分化を誘導可能か検証中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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