現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、1.中和抗体に対する抗イディオタイプ抗体を作成し、交差反応性などの解析,2.抗イディオタイプ抗体パネルを用いたB細胞集団の解析,3.中和抗体産生前駆B細胞の同定,4.新たなHIV中和抗体誘導ワクチンの作成, 以上の4つ段階に分けて考えることができる。我々は、昨年度までに第一段階を終了し、HIV中和抗体に対する抗イディオタイプ抗体のパネルを作成した。本年度は作成した抗体の交差反応性などの性質分析を行うとともに、第2段階のB細胞解析を行った。即ち、下記(1)の手順で、single cell sortingを用い、抗V3抗体とCD4i抗体に対する抗イディオタイプ抗体からなる抗体パネルを用いて、HIV感染症例の血清をスクリーニングし、イディオトープを共有する抗体を持つ症例を同定した。さらに(2)の手順で当該症例の末梢血から、抗イディオタイプ抗体が認識するB細胞をsingle cell sortingで取得し、抗イディオタイプ抗体への結合活性や中和抗体の標的に対する結合活性を評価した。次年度は、中和エピトープを認識する細胞を網羅的に集団として解析し、前駆B細胞の同定を行う予定である。(1)中和抗体を免疫したマウスの脾臓細胞から、中和抗体特異的抗イディオタイプ抗体産生B細胞をsingle cell sortingで分離する。得られたB細胞からVHとVLをPCRクローニングして、293A細胞またはCHOにて抗体を得る。中和抗体に対する結合抑制活性、中和活性の抑制試験などにより、複数の特徴を持つ抗イディオタイプ抗体のパネルを作成する。(2)これら抗イディオタイプ抗体パネルを用いて、HIV非感染者、及びHIV感染患者における前駆B細胞を含むBCRに交差するイディオトープを持つ細胞をsingle cell sortingで分離し、ENV抗原への反応性、中和活性を検討する。
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