研究課題
本研究課題には、1.中和抗体に対する抗イディオタイプ(anti-Id)抗体の作成、2.anti-Id抗体パネルを用いたB細胞集団の解析、3.中和抗体産生前駆B細胞の同定、4.新たなHIV中和抗体誘導ワクチンの作成の4つ段階がある。我々は、昨年度までに抗V3抗体(1C10)とCD4i抗体(4E9C, 916B2)に対するanti-Id抗体パネルを作成し、HIV感染症例の血清をスクリーニングし、イディオトープを共有する抗体を持つ症例を同定した。さらに当該症例の末梢血から、anti-Id抗体が認識するB細胞をsingle cell sortingで取得し、抗イディオタイプ抗体への結合活性や中和抗体の標的に対する結合活性を評価した。4E9Cに対するanti-Id抗体である4G8Dに対するanti-anti-Idとして39クローンが得られた。916B2に対するanti-Idである9J6Cは、生化学的問題が多く、ベクターの組み換えを行っている。1C10に対しては5種類のanti-Id を作成した。様々な成熟段階にある1C10へ結合を評価する為、1C10を持つ症例のHIV感染初期から3点の採血時期でのanti-Id抗体への反応性を解析した。末梢血単核球よりB細胞を分離後、BD Aria IIIを用いてCD19+7AAD-IgM-IgG+から、ビオチン化anti-Id抗体に結合するものをsingle cell sortした。Anti-id抗体#102は感染初期、#87は感染中期、#103は感染後期に結合する細胞がみられ、#92は初期~中期、#103は中期~後期に結合する細胞がみられた。また#92と#103の反応はより後期のサンプルの方が強い傾向にあった。これらのデータは、複数のanti-Id抗体を用いた中和抗体産生B細胞の段階的誘導の可能性を示唆する。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件)
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