研究課題
神経向性ウイルスの大部分は粘膜組織より感染し、粘膜上皮細胞で複製が増大した後に末梢組織に張り巡らされる神経末端に侵入する。神経組織で複製を繰り返し、脳炎を発症する場合もあれば、ウイルス自身の生存を可能にするために神経組織にウイルス粒子を複製しない潜伏感染の状態で長期間維持される場合もある。このように、様々な神経向性ウイルスが感染する粘膜組織には、病原微生物が侵入する以前に、既に様々な微生物叢が常在しており、互いに共存する形で粘膜組織の機能維持に重要な役割を果たしている。ウイルスのような病原微生物が侵入する際には、このような常在微生物叢が構成する微小環境を通り抜けて、粘膜組織から神経組織へと侵入することになる。そこで、神経向性ウイルス感染に対する粘膜組織微生物群の役割を明らかにするためには、まず神経向性ウイルスが感染後にどのような免疫担当細胞が集積するのか、集積した免疫担当細胞がどのようにしてウイルス複製を抑制するのか明らかにする必要がある。まず、神経向性ウイルス感染後の粘膜組織における生体防御機構に着目し、ウイルスを排除するメカニズムを明らかにすることを目的とした。これまでに粘膜組織へのメモリーB 細胞の移行を解析したところ、神経向性ウイルスに一度感染したマウスでは、ウイルス再感染後にメモリーB 細胞の数が著しく増大することを報告してきた。また、生殖粘膜組織へのメモリー B 細胞の移行にケモカイン受容体 CXCR3 が重要な役割を果たし、ウイルス再感染後のウイルス複製抑制機構に重要な役割を果たしていることを明らかにした。昨年度から引き続き、CD4 陽性組織局在型メモリー T 細胞とメモリー B 細胞の関連性について詳細に解析した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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