研究課題
1)Adiponectin-Creを用いてOgtを脂肪組織特異的に欠損したマウス(Ogt-FKO)を作製し、高脂肪食により肥満を誘導して表現型を解析した。Ogt-FKOは高脂肪食摂餌6週後以降、摂餌量に差がないにも関わらず、対照マウスに比して有意に体重増加が抑制された。一方で、耐糖能の悪化とインスリン感受性の悪化を認めた。組織像では、白色脂肪組織は萎縮し、脂肪滴の縮小と高度な線維化を認めた。また、脂肪酸合成に関連するSREBP-1c、FAS、SCD1、SCD2の遺伝子発現がいずれも有意に低下しており、de novo脂肪合成の障害が疑われた。皮下脂肪組織由来初代培養細胞を用いた検討では、Ogt阻害剤投与下で分化誘導を行った群は、非投与群と比較して、用量依存性に細胞内脂肪滴蓄積が低下した。白色脂肪組織においてO-GlcNAc修飾は脂肪合成や脂肪細胞の正常な機能的成熟過程において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。2)VE-cadherinをpromotorとしCre-loxP systemを用いて血管内皮細胞特異的にOgt遺伝子を欠損させたマウス(Ogt-VEKOマウス)を作製し、通常状態、高脂肪食摂餌による肥満状態、Streptozotocinによる高血糖状態、Apo-E欠損マウスと交配させた動脈硬化状態において、対照群(Ogt-floxマウス)と比較し生理的な変化を観察した。結果、高血糖状態において糖尿病合併症にみられる網膜新生血管の増生や尿蛋白の変化について2群間に差を認めなかった。高脂肪食摂餌群ではOgt-VEKOマウスで体重増加が抑制され、その結果耐糖能やインスリン抵抗性の改善がみられた。3)小腸特異的OGT欠損マウス(Ogt-VKO)を作成し対照マウスと比較したところ、離乳時から低体重と随時血糖値の低値を認めた。栄養吸収を確認するために経口および腹腔内ブドウ糖負荷試験を行った結果、経口ブドウ糖負荷試験でのみ血糖の上昇は有意に抑制された。またOgt-VKOの小腸でSGLT1の遺伝子とタンパクの発現が低下していることが確認された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Metabolism
巻: 59 ページ: 101458
10.1016/j.molmet.2022.101458
循環器内科
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