研究課題
本研究は、術前化学療法(NAC)施行乳癌において、癌組織を用いて全エクソーム解析(WES)を行い、乳癌の遺伝子変異プロファイルにより抗癌剤感受性との関係を検討し高精度の個別化治療の開発を目標としている。NAC(paclitaxel ± trastuzumab - FEC療法)前に採取した生検癌組織と末梢血からDNAを抽出しWESを実施した。120例(Luminal type 61例、HER2 type 44例、TNBC 15例)でNAC感受性とHomologous Recombination Deficiency (HRD) score、TMB(total mutation burden)、MSIとの相関について解析した。HRD陽性(score > 42)率は全体では25%(30/120)であったが、TNBCは67%(10/15)でLuminal type(16%、10/61)やHER2 type(23%、10/44)に比べ有意(P < 0.001)に高率であった。HRD陽性は、TMB陽性(P<0.001)およびMSI陽性(P=0.002)と有意に相関した。HRD陽性例は陰性例よりNAC感受性が有意に高かった(pCR率 39% vs 10%, P=0.003)。HRDとTILによるpCR予測結果は、HRD陽性/TIL陽性 56%、陽性/陰性 29%、 陰性/陽性 18%、陰性/陰性 6%であった。HRD関連遺伝子のgermline mutationが12例(BRCA1 2例、BRCA2 8例、PALB2 1例、RAD54B 2例、1例は重複)に認められ、8例はHRD 陽性(67%)であった。HRD 陽性乳癌は陰性乳癌に比べNAC感受性が高く、TILとの組合せがpCR予測に有用であった。HRD関連遺伝子のgermline mutation保因者の乳癌はHRD陽性率が高かった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Transl Oncol.
巻: 14 ページ: 100986
10.1016/j.tranon.2020.100986