線維芽細胞が産生する新規液性因子の肝胆膵癌悪性化の機序解明と革新的治療の開発

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H02877
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
• 研究分担者: 播本 憲史 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (00419582) ; 石井 範洋 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (00711508) ; 久保 憲生 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10464744) ; 五十嵐 隆通 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (20648472) ; 市川 聡 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60333621) ; 横堀 武彦 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (60420098) ; 新木 健一郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60431706) ; 渡辺 亮 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60738847) ; 塚越 真梨子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60781317)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 肝胆膵がん / 癌関連線維芽細胞 / M2BPGi

研究実績の概要

われわれは本研究において難治癌の代表である肝胆膵がんにおいていわゆる癌の微小環境がその難治性の重要な因子であることを報告した。特に癌関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblasts: CAF)が重要な役割を果たしていることを示した。1.CAFをターゲットとした新規療法としてそれに基づき、肝や肺の線維化を抑制するConophyllineやNintedanibがCAFをターゲットとした治療が有効であることを示した。2.M2BPGiに関して、ヒトの肝臓の切除標本を用いてM2BPのin situ hybridazationを行い、M2BPはHSCが産生しており、その発現頻度が血清のM2BPGI値と相関することを示した3. さらにわれわれは肝のHSCや肝細胞癌のCAFがM2BPGiを産生することを明らかにした。M2BPGiがin vitroで複数のヒト肝癌細胞株の増殖・浸潤を促進することを示し、ヒト肝細胞癌株を用いたマウス皮下腫瘍モデルでM2BPGiを持続投与することで増殖の促進が起こることを明らかにした現在、同様の現象が膵癌でも起こることを見出しており、実験を継続中である。4. Galectin 3阻害剤においてはプロトタイプの阻害剤の開発は終了しており、一定の効果を認めている。さらにgalectin 3との親和性を高めるために新たな化合物の作成を北海道大学薬学研究院の市川聡研究グループと共同研究で推進している。
本研究を通して、癌細胞とCAFのM2BPGiというメディエ―ターを介した新たな連関の分子機序が明らかになり、難治癌に対する新たな治療開発に関しての基礎研究が行われた。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Hepatic stellate cell as a Mac-2-binding protein-producing cell in patients with liver fibrosis (2021)
  • 著者名/発表者名: Gantumur D, Harimoto N, Muranushi R, Hoshino K, Batbayar C, Hagiwara K, Yamanaka T, Ishii N, Tsukagoshi M, Igarashi T, Watanabe A, Kubo N, Araki K, Yokobori T, Aishima S, Shirabe K.
  • 雑誌名: Hepatol Res . 巻: Online ahead of print. ページ: Online ahead
  • DOI: 10.1111/hepr.13648.
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Conophylline Inhibits Hepatocellular Carcinoma by Inhibiting Activated Cancer-associated Fibroblasts Through Suppression of G Protein-coupled Receptor 68 (2021)
  • 著者名/発表者名: Yamanaka T, Harimoto N, Yokobori T, Muranushi R, Hoshino K, Hagiwara K, Gantumur D, Handa T, Ishii N, Tsukagoshi M, Igarashi T, Watanabe A, Kubo N, Araki K, Umezawa K, Shirabe K.
  • 雑誌名: Mol Cancer Ther. 巻: Online ahead of print. ページ: Online ahead
  • DOI: 10.1158/1535-7163.MCT-20-0150.
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Mac-2-binding protein glycan isomer enhances the aggressiveness of hepatocellular carcinoma by activating mTOR signaling (2020)
  • 著者名/発表者名: Dolgormaa G, Harimoto N, Ishii N, Yamanaka T, Hagiwara K, Tsukagoshi M, Igarashi T, Watanabe A, Kubo N, Araki K, Handa T, Yokobori T, Oyama T, Kuwano H, Shirabe K.
  • 雑誌名: Br J Cancer 巻: 123(7) ページ: 1145-1153
  • DOI: 10.1038/s41416-020-0971-y.
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Nintedanib inhibits intrahepatic cholangiocarcinoma aggressiveness via suppression of cytokines extracted from activated cancer-associated fibroblasts (2020)
  • 著者名/発表者名: Yamanaka T, Harimoto N, Yokobori T, Muranushi R, Hoshino K, Hagiwara K, Gantumur D, Handa T, Ishii N, Tsukagoshi M, Igarashi T, Tanaka H, Watanabe A, Kubo N, Araki K, Shirabe K.
  • 雑誌名: Br J Cancer . 巻: 122(7) ページ: 986-994.
  • DOI: 10.1038/s41416-020-0744-7.
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] 癌関連線維芽細胞が産生するサイトカインの制 御に基づく，肝癌の新たな治療戦略 (2020)
  • 著者名/発表者名: 山中崇弘、播本憲史、村主遼、星野弘毅、萩原慶、 石井範洋、塚越真梨子、五十嵐隆通、渡辺亮、 久保憲生、新木健一郎、梅澤一夫、調憲
  • 学会等名: 第120回日本外科学会