研究課題
前年度に続いて、さらに食道扁平上皮癌切除標本を用いた静止期癌幹細胞の同定分離を行った。また、免疫不全マウス皮下移植モデルを介して採取した細胞の培養条件を再設定し、細胞採取を施行し、良好な結果を得た。さらに、コロニー形成能、spheroid形成能、マウス皮下移植腫瘍形成能および抗癌剤耐性を評価した。また、癌細胞の培養を介さずに癌組織から直接、癌幹細胞や腫瘍浸潤リンパ球などの間質細胞を採取する工程や次項目のCTCの検出を視野に入れ、EGFRやPLS3などEMTによって変化しない上皮マーカーをEpCAMに置き換えて細胞を分離し、より高い癌幹細胞形質をもつ細胞フラクションを検出するマーカーセットを探索した。さらに、上記の切除標本の症例について、術前の末梢血液を採取しフローサイトメトリーによってp75NTR の発現を検出した。上記切除標本採取症例について術前の末梢血液を用いて、申請者らが開発したポリマーマイクロ流体チップおよびCTC 捕捉システムを用いて前述の癌幹細胞マーカー発現細胞を捕捉を試みているところである。また、癌抗原特異的キラーT細胞1個から抗体遺伝子やT細胞受容体(TCR)遺伝子を取得するシステム(hTEC10)を開発しており(Nature Medicine 2013)、癌部および末梢血液からCD8+T細胞をセルソーターを用いて分離、培養し分離したCTSCと接触させたのち、癌幹細胞反応性T細胞を活性化マーカーであるCD137 およびPD-1発現をもとに単一細胞レベルで分離することを試みている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。