研究課題/領域番号 |
18H02896
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 寛治 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60302709)
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研究分担者 |
山田 芳嗣 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学三田病院, 教授 (30166748)
比留間 孝広 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40572277)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫抑制 / 免疫賦活 / 重症感染 / 手術侵襲 |
研究実績の概要 |
C57/Bl6マウスを用いて、23Gによる回盲部結紮穿孔(Cecal ligation and puncture; CLP)モデルを作成した。 3日後に経気管的にGM-CSF 500mcgを投与し、1日後に肺胞マクロファージを採取して、その成熟度、活性化度を表面抗原で蛍光ラベルした抗体とハイブリダイゼーションし、フロサイトメトリーで検討したところ、コントロール、Sham 手術群と比較して、CLP4日後は、活性化指標であるCD11bは有意に上昇したが、成熟度指標とされるCD11c, Siglec Fは低下した。一方、経気管的にGM-CSFを投与した群は、低下したCD11c, Siglec Fが有意に復活した。 また、採取したマクロファージをLPSで刺激したところ、培養液中に分泌するサイトカインIL-6, TNF-αが、CLPモデルで有意に低下していたが、経気管的にGM-CSFを加えることで復活した。この現象は、採取した肺胞マクロファージをin vitroでGM-CSF刺激しても同様の傾向を示した。LPS刺激に伴うIL-6のmRNA発現量も、同様の傾向を示し、CLP後に低下して、GM-CSFの経気管投与で復活した。 これらの内容をまとめて、American Thoracic Societyの年次学術集会(Dallas, Texas, USA)にて発表した。 これまでの研究で、CLPによる敗血症モデルでは、肺胞マクロファージの機能低下が顕著であることがわかったが、肺炎時の肺内ケモカイン分泌の量が低下していたにもかかわらず、肺の病理像では、白血球の集簇を見せる強い炎症所見が認められた。 また臨床検体で採取した血清中のGM-CSFシグナルを検討するためのウェスタンブロッティング法を基本としたGM-CSF-CSFシグナルの検出する方法では、結成中の非特異結合を抑制する方法を引き続き検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腸管の虚血再灌流モデルが技術的な困難により完成していない。 血液採取による白血球機能測定の倫理申請は承認済みであるが、患者のリクルートへの取り組みが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
回盲部結紮穿孔(Cecal ligation and puncture; CLP)モデルによる経時的な肺内への白血球の分布推移を検討する。また同様の観察を腸管虚血再灌流モデルでも検討する。2-hitモデルの2nd hitとして、緑膿菌肺炎や、LPSの肺内投与による白血球胴体の変化を検討する。また、これらの観察された変化に与える免疫賦活サイトカインの効果を検討する。本邦におけるCovid-19の感染拡大に伴って、待機的手術が縮小されているため、臨床検体の採取には困難が予想されるが、動物実験研究を進めつつ、術後末梢血採血を採取して、血液中の貪食細胞昨日の解析ができる準備を進める。
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