痛みストレスや脳内報酬系の亢進による“末梢-脳-末梢”連関を介した腫瘍免疫修飾機構を科学的に解明する目的で、脳内ストレス応答性神経や脳内報酬系の神経ネットワークの賦活による脳-腫瘍免疫連関について解析を試みた。その結果、生体のストレス応答の起始核である視床下部室傍核コルチコトロピン放出ホルモン神経の活性化により、がん病態の悪化が認められた。一方、脳内報酬系を司る中脳辺縁ドパミン神経細胞の投射先である側坐核 D1-受容体含有神経の特異的活性化により抗腫瘍効果が認められた。こうした腫瘍増殖調節機構には、遠心性機構が働き、脾臓内免疫細胞の機能変容に伴うがん免疫の制御が関連している可能性が示唆された。
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