研究課題/領域番号 |
18H02909
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松村 明 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241819)
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研究分担者 |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
中井 啓 茨城県立医療大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50436284)
鶴淵 隆夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70778901)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 病院併設型小型加速器中性子源 / 中性子捕捉療法 / 悪性脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
①病院内併設可能型BNCT用加速器中性子源装置の実用化のために治療時の線量評価を行う治療計画システム(ツクバプラン)について同集学的療法を実現できるように、ツクバプランをBNCT(中性子)だけでなくX線照射、陽子線照射による線量評価にも対応できるように機能拡張した。また、治療時の線量評価を行う治療計画システム(ツクバプラン)は、モンテカルロコード:PHITSを使用しているが、これの機能を高度化することでデータ保護の安全性を向上させた。これにより、以前の原子炉施設を使った悪性脳腫瘍に対するBNCTでは、BNCTにX線照射を組み合わせた照射を実施していたが、今回の研究成果で正確な占領評価ができるようになり、今後の臨床研究に応用できることが期待される。 ②新規ホウ素薬剤などの基礎研究については引き続き、2種類の新規ホウ素化合物の基礎的実験を行い、その一つについては特許申請に至った。また、様々な細胞株を用いたノボシビルスクの核物理研究所の加速器線源を用いて基礎実験を行い、1名の博士号取得とともに論文にまとめることができた。 ③臨床研究についてはこれまで原子炉でしかおこなっていなかった新規神経膠芽腫に対する加速器としてはFIHの臨床研究を計画しており、医療用ホウ素薬剤を入手し、前臨床試験が終了次第、臨床研究を開始する予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①治療計画ソフトの高度化研究開発は順調に進んでいる。 ②基礎実験としては2種類の新規化合物について研究が進んでおり、特許化や論文作成につながっている。 ③臨床研究について予定よりも若干遅れ気味ではあるが、これはホウ素化合物の供給先からの薬剤がえられていないためであり、入手次第進められると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
①新規ホウ素化合物の開発:新規ホウ素化合物(候補あり、特許申請中)を用いて脳腫瘍細胞や担癌動物、組み替えDNA実験により作成したマウス脳腫瘍モデルに小型加速器中性子線源による照射を行い、治療効果を検討する。また、ホウ素取り込み改善に関する基礎研究を行い、将来臨床応用可能な新規ホウ素化合物の開発を目指す。 ②BNCT 臨床研究(Phase I/IIa臨床試験):これまでの加速器ベースで新規膠芽腫のBNCTを行った研究はなく、First in Human studyとなる。初回にBNCTを行い、その後にX線分割照射をMRIのT2high intensityに加えることにより、これまでに安全性の担保、播種や遠隔再発を防ぐことが原子炉を用いて実証されており、これを加速器にて検証していく。したがって、まずはPhaseI/IIとして安全性、効果を検証するプロトコールとする。初回BNCTにて3例づつ、3段階ずつ、doseescalationを行っていく。副作用がでた場合には同線量でさらに2例を追加し、副作用が出なかった場合に次のdoseにすすめていく。BNCT照射後には30-40Gy(2Gy分割)の後照射を行うが、この際も急性の副作用の有無をチェックしながら行っていく。Co-primary endpointはOSとPFSとし、secondary endpointは1yrPFS、MRI上の画像変化などとする。本パイロット研究が終わったらAMEDに対して臨床治験を申請していく。
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