研究実績の概要 |
グリオーマ細胞株に対する(p)RR抗体の抗腫瘍効果をin vitroにおいて評価する実験において、まず、U87MG,U251,T98Gなどグリオーマ細胞株について、(p)RRの発現について検討した。脳腫瘍細胞において、グレードやグリオーマの予後規定因子であるIDH-1変異に関わらず(p)RRが恒常的に発現しており、さらに悪性化に伴い(p)RR発現量が増加していることを確認した。また、(p)RRをsmall interference RNA (siRNA)でノックダウンすると、細胞の増殖能は抑制された。このことから、(p)RRがグリオーマの腫瘍形成において、IDH-1変異以前の初期段階にドライバー分子として重要な働きを担っていることを我々は示した。 次に、(p)RR抗体を用いて(p)RRの働きを抑制することで、ドライバー分子を失ったグリオーマの腫瘍形成能は失われるか?について解明するために、これらの細胞株を用いて、(p)RR抗体の抗腫瘍効果を検討した。U87MG,U251,T98Gなどグリオーマ細胞株に、(p)RR抗体を投与し、Reporter assayにより、(p)RRとはWnt/βカテニン経路を抑制することで、グリオーマに対し、抗腫瘍効果を発揮していることを明らかとした。また、増殖能、アポトーシス等を検討すると、(p)RR抗体は濃度依存性に腫瘍増殖能を抑制することを明らかとした。さらに、TMZを併用投与による検討では、相加効果が認められた。さらに今年度は(p)RRのグリオーマ形成に関わる分子生物学的メカニズムの解明のための実験やIn vivoにおけるグリオーマ細胞株に対する(p)RR抗体の抗腫瘍効果を検討した。 以上より、グリオーマ細胞株に対する(p)RR抗体の抗腫瘍効果を確認できた。
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