長期の臥床生活は骨への荷重減少を招き、さらなる骨形成の低下が生じることから、骨がメカニカルストレスに応答する機構の解明ならびに骨形成を促進する効果的な治療方法の開発は喫緊の課題である。骨細胞を除去したマウスでは、後肢免荷に伴う骨量の減少が生じないないことから、骨細胞はメカニカルストレスを感知するセンサーとして機能する可能性が示唆されている。一方申請者らは、骨 組織内への感覚神経の正常な侵入が骨量維持に重要であることを世界に先駆けて報告した。そこで本研究では、感覚神経-骨細胞ネットワーク着目し、その生理的意義を明らかにすることで、メカニカルストレス受容機構とそれに応答する骨代謝調節機構の解明を目指す。 本年度は、まず昨年度実施した骨細胞における網羅的遺伝子発現解析結果から、メカニカルストレスに反応すると考えられる遺伝子群を数種類確認した。さらに、骨細胞特異的遺伝子欠損マウスを作成し、本マウスに対して後肢免荷を行い、非荷重の影響を検討した結果、骨細胞特異的遺伝子欠損マウスでは、骨量減少が生じないことを確認した。 次いで、透明化技術を用いて、様々な骨代謝異常モデルにおいて、骨組織内の神経系の変化を三次元的に解析をし、神経と骨代謝異常発生の関連性の一部を見出した。加えて、新たに神経障害モデルを確立し、骨の表現系を解析した結果、有意な骨量減少を認めた。関与する神経因子を同定し、神経障害モデルに投与したところ、骨量減少が改善する可能性を見出した。 現在これらの結果をまとめ、論文投稿の準備中である。
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