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2018 年度 実績報告書

軟骨膜の機能解明 ーiPS細胞由来軟骨を用いてー

研究課題

研究課題/領域番号 18H02924
研究機関京都大学

研究代表者

山下 晃弘  京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (00636855)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード軟骨再生 / 軟骨周膜 / iPS細胞
研究実績の概要

軟骨は自己修復能が乏しい組織であるため、有用な軟骨再生治療法の開発が切に望まれている。われわれはヒトiPS細胞から分化誘導して作製した軟骨を限局した関節軟骨損傷部に移植する治療法を開発することを目指している。
われわれが作製したヒトiPS細胞由来軟骨は、軟骨基質を取り囲む様に軟骨周膜が存在する。移植後にヒトiPS細胞由来軟骨はそれ同士、およびホストの軟骨と融合して修復組織を構成することができる。この過程で軟骨周膜が重要な役割を果たしている可能性が高い。しかし、その詳細については明らかになっていない。そこで本研究ではヒトiPS細胞由来軟骨が融合するin vitroモデルを確立し、融合の過程を検討した。さらに軟骨周膜に高く発現している遺伝子について調べた。
経時的に融合過程を観察した結果、ヒトiPS細胞由来軟骨は、それ同士の接触後1週において周膜部分から融合が始まった。そして4-8週後に中心部の軟骨が融合した。次にRNAseqを用いて軟骨周膜と軟骨基質に発現する遺伝子について網羅的に解析を行った。その結果、周膜に高発現している遺伝子の一つとしてFGF18を同定した。FGF18をin vitroモデルに投与したところ、周膜の融合が促進した。一方、FGFR阻害剤を投与した場合は、2週においても融合が認められなかった。以上の結果から周膜を起源とするFGFシグナルは、iPS細胞由来軟骨が融合する初期過程を促進することを明らかとした。
本研究の成果は、iPS細胞由来軟骨を用いた再生治療の治癒メカニズムの一端を解明するものであり、関節軟骨損傷に対する新たな治療方法の開発に貢献できると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はヒトiPS細胞由来軟骨の融合する過程を検討するため、in vitroモデル系の確立を行った。さらに軟骨周膜に高発現している遺伝子について調べるため、軟骨基質と軟骨周膜とを単離しRNAseqを用いて網羅的に遺伝子を探索した。その結果、軟骨周膜に高発現している遺伝子としてFGF18を同定した。そして融合におけるFGF18の機能をin vitroモデルを用いて解明した。
以上のように、今年度は軟骨膜の機能を解明するために、in vitroモデル系の構築と網羅的遺伝子解析による特異的遺伝子の同定およびその機能の一部を解明することができたため、本研究は計画通りおおむね順調に進捗していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本研究により、ヒトiPS細胞由来軟骨の周膜を起源とするFGFシグナルが軟骨同士の融合促進に効果があることが明らかとなった。この成果をもとに、in vitroにて軟骨同士の融合促進させる方法を検討する。さらに、移植後の融合には軟骨周膜が重要な役割を果たしていることを明らかにする。そのための動物モデルの確立を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Considerations in hiPSC-derived cartilage for articular cartilage repair2018

    • 著者名/発表者名
      Yamashita A, Tamamura Y, Morioka M, Karagiannis P, Shima N, Tsumaki N.
    • 雑誌名

      Inflamm Regen

      巻: 38 ページ: 0

    • DOI

      10.1186/s41232-018-0075-8

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Integration Capacity of Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Cartilage2018

    • 著者名/発表者名
      Chen X, Yamashita A, Morioka M, Senba T, Kamatani T, Watanabe A, Kosai A, Tsumaki N.
    • 雑誌名

      Tissue Eng Part A

      巻: 0 ページ: 0

    • DOI

      10.1089/ten.TEA.2018.0133.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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