研究課題
変形性関節症は、加齢に伴い関節軟骨が変性し疼痛を伴う疾患であり、病期が進行すると外科的治療が必要になることも多い。近年の臨床研究の結果から、関節周囲の骨の脆弱性および微小骨折の発生が関節症進行に寄与する可能性が指摘されはじめている。これまでにラットの脛骨近位端内側の軟骨下骨部分に骨孔を開けた脛骨軟骨下骨微小骨折モデルを用いて、1)Sham群、2)軟骨下骨微小骨折群、3)既存変形性関節症モデル(内側側副靭帯切除+内側半月板切離モデル)、4)既存変形性関節症モデル+軟骨下骨微小骨折追加群の4群を作成し、4)群は3)群より変形性関節症変化が著しいことがわかっている。1),2),3),4)の4群における術後2週、術後4週の関節軟骨からRNAを抽出し、マイクロアレイで網羅的遺伝子解析を行った。その結果、2)群においては、2週、4週ともに軟骨において軟骨の恒常性を維持するのに重要なWWP2や、血管新生を促すVEGFa遺伝子の上昇が見られ、軟骨下骨でも2)、4)群においてVEGFa遺伝子の上昇を認めた。軟骨下骨の定量的PCRでもVEGFaや低酸素状態で発現するHIF1Aが有意に高値であった。変形性関節症と骨粗鬆症における軟骨下骨の変化を検討するため、卵巣切除骨粗鬆症ラットモデルを用いて1)、3)群を作成し、μCT、MRIを用いて評価を行なったところ、4週では大きな変化は認めなかったが、8週、12週においては軟骨下骨にMRIのT2強調画像で高信号の病変、μCTで骨嚢胞様の病変が脛骨軟骨下骨に出現し、軟骨下骨病変の直上において、軟骨の著しい変性を認めたことから、軟骨下骨の形態的変化と変形性関節症との関連が示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep
巻: 10 ページ: 20787
10.1038/s41598-020-77735-2