研究課題/領域番号 |
18H02944
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
吉田 好雄 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (60220688)
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研究分担者 |
辻川 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (30380033)
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
水谷 哲也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (90322734)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Radiogenomics解析 / 遺伝子プロファイリング / 肺転移マウスモデル |
研究実績の概要 |
①転移能の異なるin vivoモデルでの「原発巣」「転移巣」の遺伝子プロファイリング 樹立したモデルマウスの原発腫瘍、転移巣および正常組織の細胞をフローサイトメーターなどで細胞単離し、遺伝子プロファイリング、RNAsequential法、さらにはGene Chip3 IVT Expression Kit (Affymetric Santa Clare, CA, USA)を用いてマイクロアレイ法により比較し、発現レベルに顕著な差を有する遺伝子を同定。さらに、キャップ化されたRNAの5’末端を次世代シークエンシングで解読する、Cap Analysis of Gene Expression法により、未知の発現遺伝子解析、転写開始点または発現量の変化を検討。それぞれの遺伝子は、DAVIO (the database for annoration, visualization and integrade discovery)バイオインフォマチスリソース6.7で生物学的機能を検討。 ②「Radiogenomics解析」を用いたバイオマーカーの開発 我々が樹立した、肺転移マウスモデルを用い、PET解析装置で、FDGの集積をTexture解析し、どの高次特徴量がその腫瘍の特性を反映しているか「LIFEx」解析ソフトを用いて定量化:「Radiomics解析」する。遺伝子発現プロファイリングと相関させることで、高次画像情報の変化から発現遺伝子変化を関連して検討。 子宮肉腫in vivo「Radiogenomic解析」行い、転移早期相・晩期相における 原発巣・転移巣の組織・腫瘍細胞のみならず、周囲の間質の微小環境の変化を検討する。また、これらの検討を分子イメージングで得た「場」の情報、どのような時間経過で発現し消長するかという「時間」情報を得て、これらと照合し発現遺伝子の変化を検討。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①【GFP陽性ヒト子宮肉腫細胞株マウス同所移植転移モデルの作製】子宮肉腫の原発巣では、特異的に、Progranulin, Osteopontin, Midkine, GDF-15の高発現が認められる。高転移ではTNN1,COLIA2発現が増加し、細胞増殖シグナルに関する遺伝子ZIC1発現が抑制されていることを見出している。 ②【分子イメージング手法を用いた病態解析】高転移では「Radiomics」解析で、Complementarity, Strengthの高次テクスチャ特徴量が特異的であることを見出した。 ③【In vivo薬剤同時投与比較試験法】同所移植で形成された腫瘍に、薬剤を同時に投与し、その薬剤の薬物動態作用を検討する系を preliminaryではあるが検討することができた。「原発巣」 肉腫の腫瘍のDNA合成能を表層から深部にかけてDoxorubicinが最も抑制し、肉腫の腫瘍の細胞増殖能を表層から深部にかけてDocetaxelは、抑制していることが判明した。これらは、「原発巣」肉腫に対しては、DoxorubicinとDocetaxelの投与は 異なった機序で効果が合う可能性が判明した。 ④【子宮肉腫肺転移のペプチド療法の開発】新規ラミニンペプチドアナログ(C16Y)の 腫瘍細胞への検討は、NIH Hynda Kleinmannらと共同で行ってきた。特に卵巣癌細胞株を用いた実験では、卵巣癌細胞株にアポトーシスを誘導し、さらにシスプラチンと相乗効果があることを見出した。最近では、腫瘍の増殖に対して腫瘍血管抑制能があることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床像を反映する動物モデル実験系は、約80%以上の確率で再現性を有し、高転移系と低転移系はanimal PETでモニタリング可能である。また、animal PETでモニタリングできない場合でも、GFPイメージング法で、モニタリングを行う。原発巣・転移巣からの遺伝子プロファイリングを行うが、RNAsequential法, Gene Chip3 IVT Expression Kit (Affymetric Santa Clare, CA, USA)を用いる以外に、理研の加藤らのグループと、キャップ化されたRNAの5’末端を次世代シークエンシングで解読する、Cap Analysis of Gene Expression(CAGE)法用いるため、未知の発現遺伝子解析、転写開始点または発現量の変化を検討することが可能になり、より解析が確実になった。薬物投与手技は、安定している。「Radiomics解析」については「LIFEx」解析ソフトを用いて定量化し、人検体で論文作成中であり、本実験系でも可能と考えられる。新規ラミニンペプチドアナログの坑血管新生阻害効果を、子宮肉腫細胞株と、動物実験モデルを用いて検討するが、有効性が少ないときは、その他の分離されたラミニンペプチドアナログ C16S, AG73Tなどの有効性を検討する。
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