研究分担者 |
辻川 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (30380033)
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
水谷 哲也 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (90322734)
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研究実績の概要 |
樹立したモデルマウスの原発腫瘍、転移巣および正常組織の細胞を用いた検討の結果、子宮肉腫転移機構解明のための開発した、translational in vivo model(Mizutani, Yoshida et al. Cancer Letter2015)と、公共データベース(The Cancer Genomic Atlas; NCI,GEO database; NCBI)を用いた検討では、早期進行期症例の子宮肉腫に特異的に高発現する分泌タンパク質GDF15, Progranulin(特許第6694219号), Osteopontin(特許第6694220号) およびMidkine(特許第6532058 号)があることを世界で初めて報告し、特許を得ることができた(Mizutani, Yoshida et al. End J.2020)。これらの分泌タンパク質の制御遺伝子は、exosome分泌を制御する遺伝子であることも判明した。これらの知見は、分泌タンパク質の子宮肉腫における詳細な作用機序は解明されていないが、子宮肉腫においても早期より「exosome」が原発巣から分泌され、原発巣-転移巣細胞間コミュニケーションが活発に行われ、子宮肉腫の防御環境(潜伏性がん細胞生存環境)の獲得に大きく関与していることが示唆される。 pGSN(プラズマゲルソリン)は、exosome内に存在する蛋白質で、exosomeが転移巣の微小環境間質にintegrin接着分子を用いて接着後作用し、免疫環境を変化させ抗がん剤抵抗性獲得や、転移能亢進に関与する(Cancer Res 2020, Oncogene 2019)。さらに、我々の子宮肉腫症例のdataでは、pGSNとPDL-1には有意差はないが、相関性があるため、子宮肉腫におけるanti-PDL-1抗体投与における治療効果の可能性が示唆された。
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