研究課題/領域番号 |
18H02947
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松村 謙臣 近畿大学, 医学部, 教授 (20452336)
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研究分担者 |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
坂井 和子 近畿大学, 医学部, 講師 (20580559)
村上 隆介 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (40782363)
高矢 寿光 近畿大学, 医学部, 助教 (60734689)
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80283597)
宮澤 正顯 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
佐藤 隆夫 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (70162443)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / ゲノム / 化学療法感受性 / 腫瘍内不均一性 |
研究実績の概要 |
1) 卵巣高異型度漿液性癌(HGSOC)のFFPE標本からDNAを抽出し、SNPアレイを行って、clone数を調べた。その結果、clone数が多いと予後不良であること、さらに、化学療法後残存した腫瘍ではclone数の減少がみられることを見出した。また、化学療法後残存した腫瘍において、homologous recombination deficiency (HRD)のスコアも低くなっていることを見出した。HRDスコアが低いということは腫瘍細胞のDNA修復能が高いことを示唆しており、本研究の結果から、HGSOCの化学療法後には、DNA修復能が高いクローンが選択されて残存しており、それが再発の原因であると考えられた。 2) The Cancer Genome Atlas (TCGA)データを入手し、SNPアレイの解析を行い、やはりclone数が多いと予後不良であることを見出した。さらに、HRDスコアも算出し、HRDスコアが高いと予後良好であることも見出した。そして、BRCA1/2遺伝子変異に加えて、CHEK1 homozygous deletion, PTEN homozygous deletion, BRCA1メチル化、RAD51Cメチル化が高HRDスコアと相関しており、それらがHRDをもたらす原因となっていると考えられた。HRDの原因別にHRD症例をHRD-genetic, HRD-epigenetic, HRD-undeterminedに分類したところ、HRD-epigeneticは予後不良であった。この結果から、原因がBRCA1やRAD51CなどのDNAメチル化が原因となってHRDとなっている腫瘍では、化学療法後によりDNA修復機能を有する脱メチル化クローンが優勢となるため、化学療法抵抗性となりやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣癌のFFPE標本を用いたゲノム解析の実験系を確立し、クローン数やHRD statusが、化学療法感受性や予後とどのように関わっているかを見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
1) 卵巣癌のFFPE標本を用いたHRD解析について、さらにサンプル数を増やして検討する。 2) 内膜症関連卵巣癌の発生起源について、シークエンシング解析により調べる。 3) 卵巣明細胞癌において、MSIなどのゲノムの状態と腫瘍免疫の関連を調べる。
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