研究課題
近年眼科領域での再生医療は目覚ましい発展を遂げ、ES細胞やiPS細胞を用いて立体網膜や神経節細胞を再構成できるようになった。困難とされてきた視覚関連神経再生が「先の見える目標」となり、失明患者の福音になると思われる。申請者は「見えない患者を見えるようにする再生医療」と「視機能が低下する前に介入的に行う再生医療」を別立てで考えてきた。 本研究の目的は、眼組織が決定的なダメージを受ける前に眼局所において内在性幹細胞を賦活化し、原疾患治療と同時に細胞レベルの再生を行う「自然再生治療」に道を拓くことである。これまで後眼部疾患の「自然再生医療」の可能性を探るために、「網膜剥離モデル」「実験的ぶ どう膜炎モデル」「視神経挫滅モデル」の3つのマウス疾患モデルを使用した。我々の予備実験でこれらの疾患モデルにおいても、in vivoでex vivo同様の自己増殖能を獲得した前駆細胞が確認されたため、疾患モデルで前駆細胞を高い精度で抽出し、抽出物プロテオーム解析と次世代シーケンサーを用いたRNAシーケンスを行い、網膜神経幹細胞誘導・増殖因子の候補となるタンパク・遺伝子を同定した。視神経挫滅モデルが安定して誘導できなかったが、他の二つのモデルで候補タンパク・遺伝子を40個程度まで絞り込むことに成功した。そして魚類を使用してこれらの候補遺伝子の生体内での解析を行い、候補遺伝子を3つに絞り込んだ。この遺伝子産物タンパクを抑制する低分子化合物を選定し、そのカクテルをin vivoモデルに導入した。in vivoモデルとして色素変性マウスとNMDUによる神経変性マウスを用いた。いずれのモデルでも3つの遺伝子を抑制する低分子化合物を硝子体腔に注入することで、ミュラー細胞が定常的にロドプシンを発現することを確認した。さらにこのロドプシン陽性細胞がシナプスを形成し、視機能向上することを確認した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。