研究実績の概要 |
2019年度は、研究への人工知能の導入が大幅に進んだ。従来の研究では、定性的判定に頼らざるを得ないため、研究に限界を感じていた。そこで、人工知能による解析アルゴリズムを開発して、複雑系の定量解析法を考案した。多くの網膜疾患で開発し以下のように論文化した;Sonoda S, Sakamoto T, et al. Sci Rep 2019; Kakiuchi N, Sakamoto T et al. Ophthalmol Retina 2019; Kakiuchi N, Sakamoto T, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 2019; Shiihara H, Sakamoto T, et al. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2019 など。特に、現在注目を浴びているPachychoroid diseaseにおいてOCT en face画像に活用して、無構造と思われた血管構造を対象型および非対称型に分類しただけではなく、その強さを定量化することができた。一方、人工知能が眼底画像から個体の男女を分類して事実から、この現象を解析することに成功した。まず、眼底の形態情報(眼底の色調、血管の走行角度など)を入れて、男女差を区別する人工知能アルゴリズムがどのようにして判別したのかについて考察することに成功した;Yamashita T, Sakamoto T et al. Trans Vis Sci Tech 2020)。これは、単に人工知能アルゴリズムを開発しただけでなく、人工知能が発見した現象を人間が解析することで新しい事実を見出したという新しい研究の在り方を指し示す研究といえる。
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