研究実績の概要 |
本年度は、画像解析に大きな進歩を得た。従来、網膜の血管の形状はフルオレセイン蛍光眼底造影がゴールドスタンダードであった。しかし、アナフィラキシーショックなどの副反応の危険性が大きかった。一方、近年開発されたoptical coherence tomography angiography (OCT-A)は副反応なしに血管の造影が可能であるが、糖尿病網膜症や血管閉塞症の重要なサインである毛細血管瘤が見いだせないという問題があった。そこで我々は多色のレーザーを用いたmulti laser scan(MC-SLO)の可能性を探った。その結果、MC-SLOを使った場合、フルオレセイン蛍光眼底造影とほぼ同等の毛細血管瘤を発見できただけではなく、色素漏出の強いタイプを選択的に発見できるという機能的評価も可能であった。これは臨床眼科学に大きな貢献をするものとして、invited reviewに取り上げられた。(Terasaki H,Sonoda S,Tomita M,Sakamoto T〈https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33670287/〉Recent Advances and Clinical Application of Color Scanning Laser Ophthalmoscope. .J Clin Med.2021) また、周辺部血管の描出にも新しい発見を行った。最近開発された、超広角眼底撮影装置では200度以上の広角眼底撮影が可能である。そこでそれとOCTを組み合わせる研究が進んでいる。しかし、周辺眼底は、ゆがみが大きく正確な評価が困難であった。そこで、reverse three dimensional projection methodを用いて、vortex veinの位置を新たに特定した。その結果を報告した所、企業製品に実装する検討がなされている。(Funatsu R, Sakamoto T. et al. Quantitative evaluations of vortex vein ampullae by adjusted 3D reverse projection model of ultra-widefield fundus images. Sci Rep 2021)。その他、新たな人工知能利用による脈絡膜血管の解析なども論文化された。
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