研究課題/領域番号 |
18H02959
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
杉田 直 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 副プロジェクトリーダー (10299456)
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研究分担者 |
大西 暁士 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70569102)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 再生医療 / ぶどう膜炎 / 網膜 / 病態モデル / 薬剤 |
研究実績の概要 |
2018-2020年にかけて、健常人及びぶどう膜炎患者よりiPS細胞を樹立して、iPS細胞由来RPE細胞、ガングリオン細胞、メラノサイト樹立を行った。 iPS細胞の品質規格試験では、核型解析、iPS細胞マーカーの免疫染色、プラスミド残存試験などで確認した。iPS-RPE細胞の品質規格試験では、RPE特異的遺伝子発現(RPE65など: RT-PCR)、RPE純度試験(Bestrophinなど: 免疫染色)、増殖因子分泌試験(VEGF/PEDF: ELISA)、視細胞外節の貪食試験(蛍光顕微鏡)などで確認した。また、ヒトiPS細胞由来3D retina(視細胞や神経網膜を含む)を分化・誘導した。品質規格試験、視細胞特異的遺伝子発現(RT-PCR)、ガングリオン細胞特異的遺伝子発現(RT-PCR)、視細胞、ガングリオン細胞純度試験(免疫染色)では問題はなく網膜の樹立できた。ガングリオン細胞の単離はImmunopaning法もしくはMACSで行い、最終的にSMI、Brn-3bの染色で純度を確認した。また、2019-2020年にかけて、iPS細胞メラノサイトの樹立を行った。現在、品質規格試験でメラノサイトのマーカーを発現しているか確認中である。 HLA-DR4陽性の原田病ぶどう膜炎患者(1名)、HLA-DR4陽性及び陰性の健常人(1名ずつ)、HLA-B51陽性のベーチェット病ぶどう膜炎患者(1名)、HLA-B51陽性及び陰性の健常人(1名ずつ)から上記のiPS細胞関連標的細胞を樹立している。来年度のassay用に複数を用意、保存した。 2019年には、ベーチェット病は3D retinaやガングリオン細胞を用いたin vitro病態モデル、原田病はメラノサイトとRPE細胞を用いたin vitro病態モデル作成を開始した。具体的には、ベーチェット病活動性ぶどう膜炎患者の末梢血由来リンパ球は、in vitro assayにて自己のiPSガングリオン細胞を認識して増えていた。一方、健常人の末梢血由来リンパ球は、自己のiPSガングリオン細胞に無反応であった。2020年度はこのin vitro assayを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度 (2018-2019) に、ヒトiPS細胞由来RPE細胞およびヒトiPS細胞由来ガングリオン細胞樹立を行った。2019-2020年にはヒトiPS細胞由来メラノサイト樹立を行った。これらは当初の予定通りであり、それ以上、それ以下 でもない。ヒトiPS細胞由来RPE細胞は当研究室で多数の実績があり、予定通りその樹立を問題なく行えた。一方、ヒトiPS細胞由来ガングリオン細胞は3D retina分化誘導に時間がかかるため1年間かけて3ラインを作成する事が出来た。ヒトiPS細胞由来メラノサイト樹立には約1年かけたがメラノサイト形態の細胞の分化誘導ができた(現在、マーカー確認中)。また、一部のぶどう膜炎ではin vitro病態モデル作成を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度 (2020-2021) は、ベーチェット病ぶどう膜炎は3D retinaやガングリオン細胞を用いたin vitro病態モデル、原田病はメラノサイトとRPE細胞を用いたin vitro病態モデル作成を追加で遂行する予定である。例えば、ベーチェット病活動性ぶどう膜炎患者の末梢血由来リンパ球は、in vitro assayにて自己のiPSガングリオン細胞を認識して増えるのか、もし増殖するならば既存のぶどう膜炎の薬剤を添加してdrug screeningも予定する。ぶどう膜炎患者のリクルート(末梢血由来リンパ球検体採取)は、年間かなりの数のベーチェット病ぶどう膜炎や原田病ぶどう膜炎患者が来院されるので問題ないと思われる。
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