マウスの真皮線維芽細胞においてfibulin-4の発現抑制を起こすマウスの作製を行なった。以前の研究結果から、P0-Cre;Fbln4 -/flマウスの背部皮膚の厚さは野生型マウスの背部皮膚の厚さに比べて薄いことがわかっていた。また、Fibulin-4の発現抑制が真皮のコラーゲン線維と弾性線維に与える影響を調べたところ、P0-Cre;Fbln4 -/flマウスと野生型マウスとで、染色程度の明らかな差は認めていなかった。 電子顕微鏡でコラーゲン線維と弾性線維の観察をおこなったところ、コラーゲン線維断面の直径の計測では真皮Fibulin-4発現低下マウスにおいて直径の減少傾向が見られた。また、弾性線維は長軸方向で連続性が低下しており、断面ではエラスチンの分布の均一性が低下していた。これらの表現型は、Fibulin-4の発現が低下がリジルオキシダーゼの活性低下を引き起こし、コラーゲン線維とエラスチンのクロスリンク形成不全をきたしたというメカニズムで説明可能と考えられた。 採取した背部皮膚組織から抽出したRNAを用いて遺伝子発現量の評価を行ったところ、Fbln4の発現は10%以下に低下していることが確認できた。Loxの発現の有意な低下は認めなかった。 以上の結果から、Fibulin-4の発現抑制は、コラーゲン線維の形成不全をきたすことが明らかとなった。Fibulin-4は皮膚の線維化抑制を目的とする治療の標的分子となる可能性があると考えられる。
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