研究課題/領域番号 |
18H02962
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田中 克弥 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (70722750)
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研究分担者 |
森 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30509310)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 再生医学 / 発生・分化 / 発現制御 / 病理学 / 組織・細胞 |
研究実績の概要 |
本年度は、(1)皮膚創部由来 F4/80 ポジティブマクロファージを用いたシングルセル解析、(2)レーザーマイクロダイセクションを用いた微小環境領域におけるシングルセル解析、(3)マクロファージ活性化過程におけるトランスオミクス解析をおこなった。各項目における具体的な結果を下記に示す。 (1)シングルセルより NGS 用ライブラリーを作製、RNA-Seq を行った結果、コントロール RNA spike のピークは認められたが、細胞内由来 mRNA についてのピークが認められなかった。qPCR を用いて分離マクロファージにおける遺伝子発現については問題なく検出できた。 (2)シングルセル解析結果と組織位置情報の統合解析を確立するため、レーザーマイクロダイセクションを用いた微小環境領域における細胞内遺伝子発現解析系を確立した。 (3)マクロファージ活性化過程における microRNA-Seq 及び mRNA-Seq をおこなった。その後、miRNA 及び mRNA 発現解析データを統合し、実際の遺伝子発現量を具備した、包括的 miRNA-mRNA 相互作用解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に確立したシングルセル解析系プラットフォームを用いて、シングルセル解析を実施した。本研究では、FACS を用いた目的細胞のシングルセル化よりも磁気ビーズを用いた方が適切であった。現在は、分離したマクロファージを用いて、シングルセル解析を実施している。 上記シングルセル解析から得られた結果と実際の組織位置情報を統合し、局在の違いによって個々の細胞の性質を解明する必要がある。そのため、本年度では新たにレーザーマイクロダイセクションを用いたシングルセル解析にも着手した。その結果、問題なく目的領域細胞群における遺伝子発現の定量ができた。 NGS から得られ大量な遺伝子発現データを、過去の報告及びバイオインフォマティクスで予想される分子間相互作用を利用して、非コード RNA と翻訳制御機構の包括的解析手法の確立を、マクロファージをモデルとして確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセル解析については、さらに検証するサンプル数を増加し、時系列を含め、データを収集する。そして、シングルセル解析とレーザーマイクロダイセクションから得られた結果を統合して、組織位置情報と時系列を具備したシングルセル解析を行い、新たな個々の細胞の多様性と細胞間相互作用を見出す。 本研究は NGS を用いて膨大な遺伝子発現データを収集している。これまで主に手作業で行っていたバイオインフォマティクス解析を、種々のソフトを用いることにより、細胞内活性化機構及び病態との関連性を具備したデータ解析を行うことができた。本年度は、その検証作業を行い、バイオインフォマティクス解析の精度を高める。
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