研究課題/領域番号 |
18H02965
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
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研究分担者 |
豊田 博紀 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00432451)
片桐 綾乃 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (40731899)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レム睡眠 / 咀嚼リズム / 異常運動 / 運動抑制 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
本年度は、レム睡眠調節機構と咀嚼リズム発生機構との機能的な相関を調べるため、咀嚼リズム発生機構に実験的に興奮性入力を与える錘体路電気刺激の効果を調べた。その結果、ノンレム睡眠では、開口筋のみにリズムが生じるものと、開口筋に遅れて閉口筋にリズムが生じる2つのパターンがあった。これらリズムを生じる開閉口筋のバースト間隔は、開口筋が閉口筋の2倍の時間であった。したがって、ノンレム睡眠では、錘体路電気刺激によって賦活する咀嚼リズム発生機構の神経モジュールが修飾されることなく賦活する可能性が示唆された。また、閉口筋は開口筋と比べると、リズムが発生する頻度が低く、発生潜時が長い。しかし、開閉口筋活動の発生に伴って、一過性に脳波の速波化や心拍数の増加を認め、運動終了後には覚醒せず睡眠に戻った(J Sleep Res 2019)。レム睡眠では、レム睡眠期間がノンレム睡眠よりも短かったが、開口筋にリズムを誘発させることができた。しかし、ノンレム睡眠と比べて、高い刺激強度が必要で、閉口筋が活動しなかった。また、麻酔深度の変化に伴ってリズミカルな咀嚼筋活動が発生していることがわかった。レム睡眠による咀嚼筋活動特性を調べるため、ヒトの睡眠中のデータも解析した。睡眠時ブラキシズム患者は健常者と比べて、レム睡眠においてリズム性咀嚼筋活動の発生数が高く、レム睡眠全体の咀嚼筋活動が健常者と比べて有意に高いことが分かった。さらに、睡眠段階移行を定量化して調べると、StageN2とレム睡眠の連続性が短いが、レム睡眠の分断には咀嚼筋活動の発生自体が関与している可能性が少ないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、咀嚼リズム発生機構をノン睡眠中に賦活させる実験には成功したが、レム睡眠の占有時間が少ないことから、レム睡眠中のデータ数を増やす必要がある。また、複数部位の脳活動を記録する実験系の確立が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、咀嚼リズム発生機構をレム睡眠に賦活させる実験を遂行すると同時に、麻酔下の動物において複数部位から同時に脳波活動を記録する実験方法を確立すると同時に、レム睡眠発生に関与する脳幹や皮質下領域を実験的に賦活して、顎運動や咀嚼筋活動に変化を示す領域を明らかにする実験を行う。また、ヒトのレム睡眠において、咀嚼筋活動と脳波活動の特性を詳細に解析する。
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