研究課題
マクロファージで特異的にSt18を欠損させたマウスを作ったところ、炎症性サイトカインの発現が正常であるにもかかわらず敗血症やDSS腸炎ですぐに死んでしまった。敗血症やDSS腸炎では血管透過性が上昇することで血圧が低下する。そこで、エバンスブルーを静脈に注射し、さまざまな臓器をとりだして当該色素の濃度を測定したところ、マクロファージで特異的にSt18を欠損させたマウスで濃度が高くなっていることが判明した。このことは、St18の欠損が全身の血管透過性を高めていることを意味する。また、網膜や腸に分布する血管の数はマクロファージで特異的にSt18を欠損させたマウスで増加しており、St18の欠損は血管新生を増大させていた。トランスクリプトーム解析をおこなったところ、血管透過性と血管新生を促進するVEGFの発現がSt18を欠損するマクロファージで上昇していた。そこで、マクロファージで特異的にSt18を欠損させたマウスにVEGFのシグナルを抑制するAxitinibを投与したところ、敗血症とDSS腸炎に対する脆弱性が改善した。VEGFのプロモーター解析を行ったところ、Sp1の結合配列が存在していた。そこで、マクロファージにSp1を過剰発現させたところ、VEGFのプロモーターが活性化することでVEGFの発現が誘導された。また、St18を欠損するマクロファージでは野生型より多くのSp1がVEGFプロモーターに結合しており、St18を欠損するマクロファージから産生されるVEGFの量はSp1の阻害剤をふりかけることで抑制された。また、生化学的な解析から、St18はSp1と直接結合することでSp1のVEGFのプロモーターへの結合を阻害する因子であることが判明した (Maruyama et al Cell Rep, 2020)。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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FEBS J
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