R2年度は次項目に従って研究を進めた。①口腔がん幹細胞におけるオルガネラストレス応答シグナルの検討:樹立したがん幹細胞とその遺伝子変異株細胞において、小胞体とミトコンドリアのストレス状態をそれぞれのストレス応答マーカーで観察した。②3Dがん組織培養における口腔がん幹細胞共培養系の確立:実際のがん組織環境を再現するために、同一ヒトがん組織より単離したがん細胞培養系を構築した。③口腔がん幹細胞の増殖・分化へのオルガネラストレス応答の役割検討(in cell):共培養系において、がん幹細胞でのER stressとMito stressについて、それぞれの下流遺伝子発現を応用したプローブで検討した。④口腔がん幹細胞の増殖・分化へのオルガネラストレス応答の役割検討(in vivo):ER stressとMito stressの関与をマウス個体がん組織で評価するために、がん細胞をマウス皮下投与し、がんの転移能、浸潤能を指標とした評価を検討した。その結果、小胞体品質管理に関連する分子Derlin-1ががん増殖、浸潤、転移に関与すること、小胞体ストレスの関与が示唆された。
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