研究課題/領域番号 |
18H02974
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
吉田 明弘 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20364151)
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研究分担者 |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
阪本 泰光 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (00349036)
三好 智博 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (60534550)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロイコトキシン / 侵襲性歯周炎 / ワクチン |
研究実績の概要 |
侵襲性歯周炎の原因菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitansが産生する外毒素ロイコトキシン(LtxA)は侵襲性歯周炎の発症に関与する。本研究では、LtxAのCD14陽性細胞上の受容体LFA-1との結合部位を正確に決定し、LtxAの結合部位に対する中和抗体を誘導するワクチンの作成を目的とする。本ワクチンは外毒素を標的としているので、従来の歯周病ワクチンの問題点であるバイオフィルムによる抗体の送達阻害の影響も受けない。本ワクチンにより誘導された抗体がLtxAとCD14陽性細胞の結合を阻害することにより、侵襲性歯周炎における組織傷害を防ぐことが期待できる。 本研究においては、LtxAがCD14陽性細胞上に発現するLFA-1と結合することが明らかになっているので、LtxAのコンポーネントワクチンによる中和抗体の誘導を目標にワクチンのデザインを行う。 LtxA結合領域を含むタンパク質断片とレンチウイルス発現ベクターを用いて培養細胞に発現させたリコンビナントCD11a, CD18分子の結合を解析した。LtxAの結合領域と推定されるリピート領域と培養細胞に発現させたリコンビナントCD11a, CD18分子の結合の解析を試みたが、CD18分子が細胞表面への発現がみられず、解析不能であった。そこで、精製CD11a, CD18分子とLtxAとの結合について表面プラズモン共鳴分析装置Biacoreを用いて解析したところ、CD11a, CD18各分子とはそれぞれ結合が見られなかった。そこで、CD11a, CD18を混在させた状態で結合を解析したところ、LtxAとの結合が確認された。このことから、LtxAが結合する受容体形成において、CD11a, CD18の両者によって形成される受容体配列が重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LtxAの結合領域と推定されるリピート領域と培養細胞に発現させたリコンビナントCD11a, CD18分子の結合の解析を試みたが、CD18分子が細胞表面への発現がみられず、解析不能であった。そこで、精製CD11a, CD18分子とLtxAとの結合について表面プラズモン共鳴分析装置Biacoreを用いて解析したところ、CD11a, CD18各分子とはそれぞれ結合が見られなかった。そこで、CD11a, CD18を混在させた状態で結合を解析したところ、LtxAとの結合が確認された。このことから、LtxAが結合する受容体形成において、CD11a, CD18の両者によって形成される受容体配列が重要であることが明らかになった。そこまでは明らかになったが、現在合成ペプチドを用いたLtxAと受容体の結合部位を同定する阻害実験を行っており、その解析途中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、LtxAのLFA-1(CD11a, CD18のヘテロダイマー)への結合にはCD11a, CD18の両者が必要であり、これらのネイティブな立体構造により形成される受容体配列が必須であることが明らかになった。今後、LtxAの阻害タンパク質を作製し、LtxAのLFA-1への阻害効果をBiacoreを用いた解析を行うことにより、LtxAのLFA-1への正確な結合領域を推定する。さらに、推定される結合領域について、LtxAの阻害ペプチド質を作製し、LtxAのLFA-1(CD11a, CD18のヘテロダイマー)への阻害効果についてBiacoreを用いて同様に解析することによりLtxAのLFA-1への結合領域を解明する。阻害を誘導できるペプチドがLtxAのコンポーネントワクチンになる。 次に、得られたワクチンをウサギに接種し、得られた血清抗体を用いてLtxAのLFA-1への結合阻害効果を検証し、本ペプチドのワクチンとしての有用性を検証する。
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